【服は消耗品なのか?】お洒落の消耗品問題について考える

「服は消耗品」

 

少し冷めて聞こえるかもしれない。しかし基本的にはそのように考えている。

 

いや、「一生モノの服だってあるでしょ」

 

そういった意見もあるだろう。しかし、多くの服は着て、使って、洗って、傷がついて、ヨレてすり減り、最後には使えなくなってしまう。

 

そう、すべての道具には程度の差はあれ寿命がある。

 

今回はそんなお洒落(服)における消耗品問題について考えていく。

 

 

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消耗品とは?

そもそも消耗品とは何の事だろう?

 

消耗品(しょうもうひん[1])とは、道具の内でも、一回の使用で状態変化を起こすか、使用に際して摩滅(すりへってやがて無くなること:→摩耗)するためにやがては消耗して無くなったり使用できない状態に変化する物品(工業製品など)のことである。

出典:Wikipedia

 

つまりは何回か使用すると消耗し無くなる(使えなくなる)もの。

 

せっかく好きで手に入れたものなのに数回使うと無くなってしまうなんて。とてもショックな話である。

 

服もそう。もちろん一度や二度着ただけで使えなくなるという事ではない。だがほとんどの服は使うごとにすり減り最後には使えなくなってしまう。

 

もちろん服だから完全に消滅する事はない。かたちが崩れ、汚れがつき、使うに耐えなくなった時点で終わり。そういう意味である。

 

 

 

Tシャツの寿命(消耗)について

分かりやすい所でいうとTシャツ。新品を購入したての頃は生地にハリもあり、襟元はしっかりしていて袖や裾もキレイな状態。

 

Tシャツの寿命とは?いつまで着れるのだろうか

 

これが何度も着用し、洗いを繰り返し使っていく事により、襟元は伸び、シルエットはくずれ汚れは目立つ様になってくる。

 

傷がついて大きく穴が空いてしまう事だってあるだろう。最後にはその状態に耐えられなくなり捨ててしまう。

 

では、Tシャツの寿命はいったいどれぐらいあるのだろう?

 

日常生活をしていて物理的に使えなくなる(破損で服として機能しない)事はなかなか無いだろう。となると寿命判定が使用者ひとりひとりの判断に任される事になる。

 

人によってはワンシーズンで首元がヨレてきて使えないと判断する事もあれば、別の人によっては2、3年着たぐらいではまだまだ形も変わらないと判断する事もある。

 

また着用頻度や素材、厚さ、着用環境によっても大きく変わってくるだろう。

 

かなり個人差はあるがやはり大きいくくりとしては消耗品である。

 

ここで思う事がある。

 

できれば消耗品など持ちたくない。

 

数回着ただけですぐ劣化し着れなくなるのは嫌。できるだけ長く使っていきたい。

 

 

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消耗品ではない服

では、消耗品にならない服はあるのだろうか?

 

服が消耗品にならない(なりにくい)条件はふたつ。

 

「劣化しない」または「経年変化が美しい」

 

 

劣化しない服

劣化しない→ 完全に劣化しない素材で服を作るのはまず無理である。であれば劣化しにくい素材の服を選ぶのがひとつの手。

強度がある所から化学繊維(化繊)が思いつくかもしれないが、通常使用で変質してしまったり、熱に弱いものも多いため難しい(劣化しないハイテク素材もあるかもしれないが稀少な為割愛)。

 

ここで頼れるのが綿や革をはじめとする天然素材。

 

服は消耗品

 

これだって劣化はしていく。

 

しかし、素材によってその期間はゆるやかで、綿等は繰り返し洗っても劣化せず、色褪せや傷、破れなどに注意すれば長期的に使うことが出来る。

 

ポリエステル・レーヨンなど化繊の混紡素材に比べれば毛玉や変質もおこりづらい。

 

 

 

その他でいうと毛(ウール)。非常にデリケートな素材ではあるが実はメンテナンス次第では劣化を抑え長期的に使用可能な素材。

 

ウールは手入れすれば長持ちする

 

もちろん、ひとたび手を抜けば毛玉や虫くいが発生するなど、細かいメンテナンスが必須となる。しかし、着用後のブラッシングや保管のメンテナンスをしっかりと行えば長期にわたり使用できる。

 

ブラシを入れるだけでも驚くほど長持ちする。こういった天然素材の特性は見逃せない。

 

 

アウターこそ消耗品にしてはいけない

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経年変化がある服

経年変化→ 次にあげられるのが「経年変化」

使い込むうちの劣化を美しいもの(アジ)として捉える事。

 

そう、皆様お好きなデニムの色落ちもそれにあたる。

 

経年変化を楽しむ。プチスタンダードの色落ち

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革製品のエイジングいついても同様。色が濃くなり、磨けばツヤを増す。それは劣化ではなく「経年変化」である。

 

革製品のエイジング

 

使い込む事で深みをまし、長期的に楽しみながら使用できる。

 

ブライドルレザーのベルトも同様

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なるほど、だから自分もデニムの色落ちや革製品のエイジングが好きなのだろう。

着て、使っていくうちアジが出て、ライフスタイルが刻まれていく様が好きなのだ。

 

もちろん人によっては経年変化を良いものと捉えず「劣化である」と考える人もおり、ここに関しては受け取る人の好みと価値観に委ねられている。

 

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メンテナンスをする事で劣化を食い止める、経年変化を楽しむ事が可能。

 

もう消耗品はいらない。劣化に対抗する。