リーバイス(levis)の501には非常に多くのモデルが存在する。
製造年や地域、企画によって様々な仕様があり、見比べていくだけでも非常に楽しい。
今回はアーカイブの復刻を中心に行うリーバイスのプレミアムライン、LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501と種類について。
所有の1937年モデルの復刻版501XXに触れながら、確認していく事にする。
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)501の種類
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)はヴィンテージ501やデニムジャケットの名品を復刻展開しているリーバイスのプレミアムライン。
LVCについてはこちら
リーバイス501レギュラーと色落ちについてはこちら
501XXの復刻版については変遷の要所ごとに各モデルが展開されており、好みやスタイルに合わせて選んでいく事が可能。
LVCの501XX復刻版と種類
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501(501XX)は本家らしく非常に多くのラインナップがある。加えて時期によってモデル展開が変わる為気になるモデルを見つけた場合早めに入手する事をおすすめする。
理由は、そのモデルが常に販売されているとは限らないから。
では、LVCの501の種類を確認していこう。
※現行ラインナップは時期によって変わる為購入時は注意要
1937年モデル
まずは1937年モデル。
リーバイスの象徴である赤タブが初めて取り付けられたモデルで、これ以前のサスペンダーボタンを省略、シンチバック、股リベットと隠しリベットの採用とディテールが豊富なのも特徴的。
ワークウェアとしてのつくりやシルエットなどが色濃く残っておりそれが魅力となっている。
後述するが自分が所有するモデルもこちら。
1944年モデル
続いては1944年、いわゆる大戦モデル。
第二次世界大戦中の物資統制が行われたなか、リーバイスにおいてもその影響を受ける事となる。コインポケットのリベットおよび股リベットは省略、シンチバックも取り除かれ、なんとバックポケットのステッチに関しても制限され、変わりにペンキでアーキュエイトが描かれるという特殊な仕様となっている。
ある意味もっともイレギュラーな501。それゆえにファンも多く様々な解釈で復刻するメーカーも多い。その復刻をリーバイスみずからが行なっているというん部分に高い価値を感じている。
ペンキを使用してまでもアーキュエイトを描こうとしている点は非常に胸が熱い。
1947モデル
501XXといえば思い浮かべる人も多いのが1947モデル。
大戦モデルで省略されていたコインリベットやバックポケットのアーキュエイトステッチが復活し、王道のディテールが再現されたモデルとなっている。革パッチとしては最終モデル。
現在の501の基本形はこのモデルでほぼ出来上がっているといってよい。王道中の王道。
1954モデル
そして、1954年モデルはジッパーフライの501XX。
品番としては501ZXXとなり、当時に西海岸の消費者に向けた戦略的なモデル。
後のジッパーモデルに派生していくと考えれば非常に重要な意味をもつ一本だろう。
1955モデル
紙パッチに変更の1955年モデルは501XXの最終型。
隠しリベットはこの年代までとなっており、もっとも好きな501としてこの年代のモデルを選ぶ人も多い。洗練されたディテールと太めのシルエットが融合した一本。
本家リーバイスしか出せないオーラがここにある。
1967年モデル
復刻版の紹介として最後に登場するのは1966年モデル。いわゆるビッグEであり、これ以降のモデルからは「XX」がなくなりあくまでも501となっていく。
隠しリベットは廃止されバータック(カンぬき)に変更。紙パッチの品番もやはり501へと変化し、シルエットに関しても現代的なテーパードストレートとなっている。
現代に繋がる501はここから始まった。
LEVIS VINTAGE CLOTHING 1937モデル
これら数あるLVCのモデルのなかで自分が選んだのは、1937年501XXの復刻版。
現在は希少となったコーンデニム社製(ホワイトオーク工場)メイドインUSAのものを新古品で入手する事ができた。
かといって現行のデニムは日本が誇るカイハラ社製を使用しており非常に高品質で、復刻年代により質感を追求した生地が採用されている為生地こそ違えど優劣があるわけではない。
どちらかといえば、所有のファーストのジージャンとセットアップで使用したいというのがが大きな理由だった。
では1937モデルのディテールやシルエット(サイズ感)についても確認していく事にしよう。
特徴とディテール
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の1937モデル501の特徴とディテールについて。
シンチバック
1937モデルの象徴といえばシンチバック。
ジーンズの後ろ部分に取り付けられた尾錠(バックル)の事で、1937年モデルより後のモデルからは省略されてしまう部位。バックルバックとも呼ばれている。
シンチバックは個人的に最も惹かれるディテールで、まさにワーク。ベルトがなくても縛り上げて調整したりと実に骨太。
細かい部分では金具部分にも変遷があり、年代判別の参考箇所となる所だが、LVCの復刻版の場合はオリナルの2本針仕様ではなく、留める形状のものに変更されている。
これはおそらくPL法による所であろう。
※PL法(製造物責任法)は製造された製品の欠陥により人の生命、身体や財産に被害を被った事を証明した場合に被害者が製造業者に対し損害倍書を求められるとする法律。
労働着のディテールとして取り付けられ、省略され、現代ではその名残りとして存在するが安全に配慮されここにある。
シンチバックは今も時代を映している。
股リベット
股リベット。クロッチリベットとも呼ばれ、これも1937モデルより後のモデルでは省略されるディテール。
股部の補強のために付けられていたが、一説には焚き火中にリベットが熱くなりやけどを負った人がいた為なくなったとか。
いずれにせよ補強にはバータック(貫ヌキ)が施される様になり不要になっていっただと考える。
片面タブ(赤タブ)
リーバイスといえば赤タブ。
この1937モデルは初めてこの赤タブが採用されたモデルであり、記念とも言える一本。
仕様に関しても初期型は表面にのみLEVISの文字が見えるいわゆる片面タブ。裏側は真っ赤なものになっている。
1953年からは両面となるがそれまではこの片面タブが採用されていく事となる。
隠しリベット
隠しリベット。コンシールリベットとも呼ばれる。
フラッシャーにも隠しリベットを示す表記。
1937モデルより前まではバックポケットにもむき出しでリベット補強がなされていた。
しかしこれも変更。内側部分にリベットが仕込まれ、文字通り隠しリベットとして採用される事になっていった。
一本針のアーキュエイトステッチ
このころのアーキュエイトステッチまでは一本針で縫われ中央のクロス部分がない。
よりラフな印象がつよく残りワークデザインのポイントとなっている。
シルエット
LVCの1937モデルのシルエットはやや太めのストレート。
後年のモデルのようなテーパードは見られず、股上が深いゆったりシルエットが無骨で格好良い。
サイズ感とワンウォッシュ後の縮み
LVCが展開している501のサイズ感は全体的にやや小さめ、洗いをかけた後の縮率も高い為サイズ選びには注意が必要となる。
リジット状態W29・L34のサイズとワンウォッシュ後の実寸は下記。公式のサイズ表記も添えてある為参考になれば幸いだ。
ウエスト | 股上 | 渡り幅 | 股下 | 裾幅 | |
リジット(未洗い) | 74 | 29.5 | 29 | 84.5 | 21 |
ワンウォッシュ(乾燥機後) | 69 | 27.5 | 27.5 | 78.5 | 20 |
公式サイズ表 | 76 | 29.5 | 29 | 86 | 22 |
ご覧のとおりとにかく縮む。
ワンウォッシュ後の全体像。
ウエストで5センチ、股下は6センチもの縮みを見せていた。
このように軽くワンサイズ、部位によっては2サイズも縮む為気をつけて選ぶ必要がある。
裾幅もはっきりと縮んでいるのが分かる。
各所にパッカリングが現れるがバックポケット周辺はとくに顕著。
チェーンステッチで仕上げられた裾にはつよいうねりが見て取れる。
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501と1937年モデルのまとめ
以上LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501と1937年モデルについて。
やや太めの潔いストレートにワーク然とした無骨なディテールの組み合わせが格好良い。
オリジナルのヴィンテージを手にする事は現実には難しい事もあり復刻版の意味が大いにあるものだと感じている。
リーバイス自らが展開する復刻モデル。歴史を背負う本家の501XXを穿こう。