リーバイス(levis)の501には非常に多くのモデルが存在する。
製造年や地域、企画によって様々な仕様があり、見比べていくだけでも非常に楽しい。
今回は、そんなリーバイス501の中でも重要な位置付けにある37モデルについて。

アーカイブの復刻を中心に行うリーバイスのプレミアムライン、LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の1937年復刻版に触れながらそのディテール、サイズ感(シルエット)について確認していく事にしよう。
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)501の種類と37モデル
まずはLVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501について。
LVCはヴィンテージ501やデニムジャケットの名品を復刻展開しているリーバイスのプレミアムラインである。
LVCについてはこちら

リーバイス501レギュラーと色落ちについてはこちら

501XXの復刻版については変遷の要所ごとに各モデルが展開されており、好みやスタイルに合わせて選んでいく事が可能。
LVC(リーバイスビンテージクロージング)の501の種類
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501は、本家らしくラインナップがとても充実している。
加えて、その時期によってもモデル展開が変わる為、気になるモデルを見つけた場合早めに入手するのが得策。
復刻系のモデルはその品番が常に販売されているとは限らないからである。
では、LVC(リーバイスビンテージクロージング)の501とその種類を確認していこう。
※現行ラインナップは都度変わる為購入時は要確認
1890年モデル
まずは1890年モデル。
今でこそ知らむ人はほとんどいないリーバイスの501だがはじめてその名が呼ばれたのは1890から。デニムの象徴でもあるリベットの原型ができたのもこのころで、まさにリーバイスとデニムの原点はここにある。
そんな1890年モデルの復刻版。
1922年モデル
続いては1922年まで時間は進む。
それまではサスペンダーを使用し吊っていたパンツだが次第にベルト着用が広まっていき後にこのサスペンダーボタンは省略されていく事になる。
このモデルはそのサスペンダーボタンが残されている最終モデルで、ウエスト部のシンチバック(尾錠)、クロッチリベット(股リベット)、バックポケットに施されたシングルのアーキュエイトステッチなどディテールがふんだんに使用されているのが特徴。
1937年モデル
そして1937年モデル。
なんといってもこの37モデルといえばリーバイスの象徴である赤タブが初めて取り付けられた501である。
これ以前のサスペンダーボタンは省略され、シンチバックとクロッチリベットは続投。
隠しリベット(コンシールドリベット)の採用と依然としてディテールが豊富なの所も特徴的である。
ワークウェアとしてのつくりやシルエットなどが色濃く残っておりそれが魅力となっている。
後述するが自分が所有するものもこちら。
1944年モデル
続いては1944年モデル。
大戦モデルといった方が馴染みがあるのではないだろうか?
第二次世界大戦中の物資統制が行われたなか、リーバイスにおいてもその影響を受ける事となる。
コインポケットにあるリベットとクロッチリベット(股リベット)は省略。シンチバックも取り除かれた。
バックポケットのステッチに関しても制限の為ペンキでアーキュエイトが描かれるというとても特殊な仕様となっている。
ある意味もっともイレギュラーな501であり、それゆえファンも多く、様々な解釈で復刻するメーカーも見受けられる。
それにしても、ペンキを使用してまでもアーキュエイトを描こうとしている姿勢のリーバイスに胸が熱い。
1947モデル
501、とりわけ501XXといえばといえば1947モデルといっても差し支えないだろう。
今見ても洗練されたモデルだと感じる事ができる。
大戦モデルで省略されていたコインリベットとバックポケットのアーキュエイトステッチが復活。革パッチとしては最終モデルとなる。
現在の501の基本形はこのモデルでほぼ出来上がっているといってよい。
1954モデル
そして、1954年モデルはジッパーフライの501XX。
品番としては501ZXXとなり、当時に西海岸の消費者に向けた戦略的なモデルとなっている。
ボタンフライの仕様があたりまえであったそれまでをふまえ、後のジッパーモデルに派生していくと考えれば非常に重要な意味をもつ一本だろう。
1955モデル
紙パッチに変更の1955年モデル。
いわゆる501XXと呼ばれる最終型となる。
隠しリベットはこの年代までとなっており、もっとも好きな501としてこの年代のモデルを選ぶ人も多い。
洗練されたディテールと太めのシルエットが融合した一本。
1967年モデル
復刻版の紹介として最後に登場するは1966年モデル。
ビッグEと呼ばれるのはこの頃のものであり、これ以降のモデルから「XX」はなくなりいわゆる501となっていく。
隠しリベットは廃止されバータック(カンぬき)に変更。
紙パッチの品番もやはり501へと変化し、シルエットに関しても現代的なテーパードストレートとなっている。
現代に繋がる501はここから始まった。
リーバイスの37モデルとLVC復刻版1937
そして、自身がこれら数あるリーバイスの復刻版から選んだのが、LVC(リーバイスビンテージクロージング)1937年モデルの501。
リーバイスの37モデル。その復刻版。

現在は希少となったコーンデニム社製(ホワイトオーク工場)メイドインUSAのものを新古品で入手。
ちなみにいうと、現行LVCのデニムに関しては日本のカイハラ社製を採用。
もちろんコーンデニムとは趣が異なるがこちらも非常に良質で色落ちにも期待が持てる。
では、リーバイス37モデルのディテールやシルエット(サイズ感)について。確認を進めていこう。
特徴とディテール
LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の1937モデル501の特徴とディテールについて。

シンチバック
1937モデルの象徴といえばシンチバック。

ジーンズの後ろ部分に取り付けられた尾錠(バックル)の事で、1937年モデルより後のモデルからは省略されてしまう部位。
バックルバックとも呼ばれている。
シンチバックは個人的に最も惹かれるディテールで、まさにワーク。ベルトがなくても縛り上げて調整したりと実に骨太。
細かい部分では金具部分にも変遷があり、年代判別の参考箇所となる所だが、LVCの復刻版の場合はオリナルの2本針仕様ではなく、留める形状のものに変更されている。

これはおそらくPL法による所であろう。
※PL法(製造物責任法)は製造された製品の欠陥により人の生命、身体や財産に被害を被った事を証明した場合に被害者が製造業者に対し損害倍書を求められるとする法律。
労働着のディテールとして取り付けられ、省略され、現代ではその名残りとして存在するが安全に配慮されここにある。
シンチバックは今も時代を映している。
股リベット
股リベット。クロッチリベットとも呼ばれ、これも1937モデルより後のモデルでは省略されるディテール。

股部の補強のために付けられていたが、一説には焚き火中にリベットが熱くなりやけどを負った人がいた為なくなったとか。
いずれにせよ補強にはバータック(貫ヌキ)が施される様になり不要になっていっただと考える。
片面タブ(赤タブ)
リーバイスといえば赤タブ。

この1937モデルは初めてこの赤タブが採用されたモデルであり、記念とも言える一本。

仕様に関しても初期型は表面にのみLEVISの文字が見えるいわゆる片面タブ。
裏側は真っ赤なものになっている。
1953年からは両面となるがそれまではこの片面タブが採用されていく事となる。
隠しリベット
隠しリベット。コンシールリベットとも呼ばれる。

フラッシャーにも隠しリベットを示す表記。
1937モデルより前まではバックポケットにもむき出しでリベット補強がなされていた。
しかしこれも変更。
内側部分にリベットが仕込まれ、文字通り隠しリベットとして採用される事になっていったのである。
一本針のアーキュエイトステッチ
このころのアーキュエイトステッチまでは一本針で縫われ中央のクロス部分がない。

よりラフな印象がつよく残りワークデザインのポイントとなっている。
シルエット
LVCの1937モデルのシルエットはやや太めのストレート。

後年のモデルのようなテーパードは見られず、股上が深いゆったりシルエットが無骨で格好良い。
サイズ感とワンウォッシュ後の縮み
LVCが展開している501のサイズ感は全体的にやや小さめ、洗いをかけた後の縮率も高い為サイズ選びには注意が必要となる。
リジット状態W29・L34のサイズとワンウォッシュ後の実寸は下記。公式のサイズ表記も添えてある為参考になれば幸いだ。
| ウエスト | 股上 | 渡り幅 | 股下 | 裾幅 | |
| リジット(未洗い) | 74 | 29.5 | 29 | 84.5 | 21 |
| ワンウォッシュ(乾燥機後) | 69 | 27.5 | 27.5 | 78.5 | 20 |
| 公式サイズ表 | 76 | 29.5 | 29 | 86 | 22 |
ご覧のとおりとにかく縮む。

ワンウォッシュ後の全体像。
ウエストで5センチ、股下は6センチもの縮みを見せていた。

このように軽くワンサイズ、部位によっては2サイズも縮む為気をつけて選ぶ必要がある。

裾幅もはっきりと縮んでいるのが分かる。

各所にパッカリングが現れるがバックポケット周辺はとくに顕著。

チェーンステッチで仕上げられた裾にはつよいうねりが見て取れる。
まとめ
以上LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)の501と1937年モデルについて。
やや太めの潔いストレートにワーク然とした無骨なディテールの組み合わせが格好良い。
オリジナルのヴィンテージを手にする事は現実には難しい事もあり復刻版の意味が大いにあるものだと感じている。

リーバイス自らが展開する復刻モデル。
歴史を刻むリーバイス、本家が体現する伝統の501XXを穿こう。



















