バブアーの代表作といえば、オイルドコットンを用いたジャケット。ビデイルやビューフォート、ボーダーなどブランドの定番アイテムが揃っている。
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オイルドジャケット(ワックスドジャケット)の特徴といえばその名の通りオイルを染み込ませている所。
油分を含んだクロスは防水・防風性に優れ、着込む事により独特の経年変化を見せてくれる。
しかし、同時に弱点といえるものも存在する。
それが「におい」。
バブアーのオイルドジャケットはくさい。そんな声を聞く事も多い。
今回は、バブアーオイルドコットンジャケットににおいの原因と対策について。
コンテンツ
バブアーのオイルドジャケットとにおい
まずはオイルドコットンについて。
オイルドコットンのにおい(臭い)
オイルドジャケットには油が染み込ませてある。これがくせもので、着込む事でより良い風合いになると同時に手間がかかる。
手で触れればベトつき、電車など人にあたってしまう可能性がある所では着用もはばかられる。
加えて、今回の主題となる「におい」の問題。
もちろん、この記事を読んでいる方であればそれすらもアジであると楽しみ、コットンクロスの経年変化を愛している方も多いだろう。
しかし、そうはいってもにおいの問題は深刻。どんなに素敵なジャケットでも「臭い」となれば、まわりの人にも影響をあたえてしまい着用自体が難しい。
バブアーオイルドジャケットのにおいと原因
では、よく言われるバブアーのこのにおい。原因はどこからくるのだろう?
一般的なコットンジャケットの場合、そこまで酷いにおいがつく事はまずない。
あったとしても、水洗いや消臭剤の塗布、風通しのよい所での陰干しなどを併用し、十分におさえる事が可能。
例えばジージャン(デニムジャケット)。多少においがついたとして、陰干し(天日干しが尚有効)、消臭剤などの併用で大抵のにおいは消す事ができる。
やはりオイルドコットンのジャケットは特殊であり、染み込んだオイルが大いに関係していると考える。
さらにくわしく確認していこう。
オイル(ワックス)の酸化
元々、オイルドコットンは防水のため動物の油(魚の油や羊の油)を塗布し、雨対策として使用したのがそのはじまりと言われている。
そして歴史は進み、19世紀半ばオイルとワックスをブレンドした専用の油脂が使われるようになる。
それでも、当時のオイルはにおいも強かったと考えられる。
改良は進んでいったにしても、ヴィンテージをはじめとする古着の個体がにおいを発するのはワックスの特性といえるだろう。
もともとのオイルのにおいに加えそれが経年により酸化、においをつよくしているという事。
しかし、さらに近年はバブアーのオイルは改良が進み、昔のようなキツイにおいがするワックスは使われなくなった。
そのため、ここ最近のバブアーのオイルドジャケットであれば最初からひどいにおいを発するという事はほぼほぼ無い。
実際2年前に購入した所有のビデイルは無臭に近い。改良済みのオイルを使用しているからであろう。
鼻をつけて嗅げば、オイルそのものの匂いを感じられはするがキツイにおい等では決してない。
※それでも後述する使用条件、経年によりにおいが強くなる可能性はありうる
カビ
そして、においの大きな原因のひとつ。
それがカビ。
油分を含んだジャケットはその特性上、あたたかく湿度が高い場所に長期放置する事によりカビが発生する。
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購入時はほぼ無臭なのにもかかわらず、生地にカビが繁殖してしまった場合は非常につよいカビ臭に悩まされる事となる。
実体験になるが、先日知人から「においを消したい」と相談を受け、2015年製のビューフォートの個体を預かった所、明らかに臭う。
自分が所有しているビデイルとそこまで年式は変わらない為不思議に思ったが、たしかにひどい。くわしく確認する必要がありそうだ。
ビデイルとビューフォートの違い
使用状況を確認すると着用自体は1シーズンのみでオイルも十分に残っている状態。後はクローゼットに3年ほど放置していた物との事。
正直、使用頻度がそこまで高い訳ではない。
となると、収納などの環境で、密閉された高温多湿の状況がつくられ、オイルにカビが発生したと考えられる。
後日、におい消しに取り掛かっていくわけだが、一度発生したオイルのカビはしつこく、表面を拭き取っただけでその根本を取り除くのは難しい。
そうならない為の対策としては「密閉された高温多湿な所で保管しない」「定期的に風通しの良い所に置く」など十分な注意が必要となるだろう。
ほこり・汚れ
次に考えられる原因がほこりや汚れ。
バブアーのジャケットはアウターにあたる。となれば一度着用すれば、ほこりは付着し、汗や汚れもたまる。
ほこりが付着したビデイル。カラーが黒色のため目立つというのもあるがオイルドゆえにほこりが付きやすい。
これが蓄積されカビや雑菌の繁殖を呼び、最終的にはつよいにおいの原因となっていく。
カビと同様、保管状況に注意し、着用後のブラッシングなどを意識して行う事で状態を保つ事が大事であろう。
バブアーのにおいの消し方と対策
以上の原因が重なってつよいにおいが発生するバブアーのジャケット。
気をつかって着用していたとしても環境や保管状況によってはにおいが発生してしまうという事。
ひいては、どうしても欲しいモデルが中古で見つかり、もともとにおいがキツイ個体にあたってしまう事もあるだろう。
では、においが発生した場合の消し方とさらに酷くならないための対策についても確認していこう。
風通しのよいところでの陰干し
風とおしの良い所での陰干し。
もっともベーシックな方法がこれで、生地への負担をかけずじっくり行う事ができる。
短時間では効果も低いため、気長に保管しにおいを抜いていく。
水拭き
そして、バブアーの公式でも推奨している汚れが気になる際のメンテナンスが水拭き。
硬く絞ったスポンジで丁寧に拭きあげる。
ちなみにあくまで冷水を使用。
これは温水を使用した場合にはオイルが抜けてしまうからで、表面についた汚れ、ほこりを除去する事が主たる目的となる。
行う場合は、ボロボロにならぬ様ネット入りスポンジを使用するのがおすすめ。
消臭剤
ここからは公式的に推奨しているものではないが特に有効だった為記載。
試される場合はオイル抜けや生地の痛み、変化の可能性を承知のうえ行っていただきたい。
噴霧式の消臭剤を使用し消臭、除菌。
多少のにおいであれば十分に消臭する事ができた。
表面のオイルへ影響を与えかねない為、必要最低限で行う。
洗濯(水洗い・お湯洗い)
そして、上記の方法でもどうにもならない場合は最終手段、それが洗濯。
ジャケットを丸洗いするという事。
もちろん、バブアーのワックスジャケットはタグに記載されているとおり洗濯不可。
オイルが落ちてしまう事とジャケットを痛めてしまう可能性がある事、非常に手間がかかる事から簡単におすすめできるものではない。
しかし、どうしてもにおいを消したいという事であれば行き着く先はこの方法となる。
くわしくは後日、丸洗いの実践記事をまとめる予定の為お待ちいただきたい。
バブアーのオイル抜き(洗濯・丸洗い)
まとめ
以上、バブアーのオイルドジャケットのにおいの原因と消し方(対策)について。
原因を知る事で対策は現実的なものとなる。
オイルの酸化にカビの発生とホコリ、汚れ。それぞれが相まってバブアーのにおい問題は発生する。着用時よりも保管時に注意する事が重要であると感じている。
汚れ、ほこりは極力取り除く、高温多湿、密閉空間に長期保管しない。これにより多くの場合は防げるのではと考えている。
自身のビデイルも2年経過現在ではほぼ無臭。
じっくりとメンテナンスをしながら、引き続きにおい対策を行っていきたい。