バブアーといえば?
ほとんどの方がビデイルやビューフォート、ボーダーをはじめとするワックスジャケットを思い浮かべるだろう。
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オイルドコットンを使用した機能性と独特の質感は素晴らしい。
しかし、このオイル(油)、魅力的であると同時ににやっかいな部分も多々存在する。
手で触れればべとつき、メンテナンスを怠ればカビが繁殖し独特のキツイにおいを発するようになる。
バブアーのにおいの原因と対策
その為、手放してしまう方、購入を躊躇してしまう人が多くいるのも事実。
今回は、そんなバブアーのオイル対策における最終手段、洗濯(丸洗い)について。
ビューフォートで実際におこなった記録とともに確認していく事にする。
バブアーのオイルとデメリット
バブアーのワックスは改良が進み、近年のものに関してオイル自体がつよいにおいを発するという事はない。石油由来のものではなく、動物性と植物性の成分のものを使用しているのがその理由。
実際、2年前に購入した自身のビデイルSLはほぼ無臭。
しかし、オイルド特有のベタつきそのものが苦手な方もおり、使い勝手がわるいと考える人も多い。
そして、ひとたびメンテナンスを怠ったり、保管の環境がよくないと汚れやカビでつよいにおいを発するようになってしまう。
バブアーオイルドジャケットにおけるデメリットといえる。
こちらのビューフォート、見た目には全く問題ないが、密閉された保管環境の為かカビが発生し、つよい刺激臭を発するようになったもの。
前記事で書いているにおい対策を行ってみたもののにおいは消えない。やはりオイルに染み込んだ汚れとカビが原因と考える。
オイルのベタつきに関してはワックスドジャケットの特徴と捉えている為、前向きにとらえているとして、やはりにおいの問題は悩ましい。
という訳で検討の結果、最終手段であるオイル抜き(丸洗い洗濯)を行う事にした訳である。
バブアーのオイル抜きと洗濯(丸洗い)
そもそもバブアーのオイルドジャケットは洗濯不可。
製品表示にもそのように記載がある。
洗濯(水洗い)してはいけない?
バブアーのジャケットは基本、洗濯してはいけない。
なぜなら最大の特徴であるオイルが落ちてしまうから。
これは公式でも記されており、汚れた場合でも冷水を使用したスポンジで拭き上げるのにとどめる様推奨されている。
どうしても汚れやオイルが気になる場合は専門業者によるクリーニングや古いワックス除去を依頼する事に。しかし、これが高価なため、手間も含め断念される方が多い。(ラヴァレックスにて¥12000(税別))
そこで、自宅での洗濯である。
仮に洗濯した場合には、オイルの抜けムラ、生地の痛み、色あせ、縮み、裏地へのオイル移りが想定される。一度洗えば元の状態には戻せない。
確かなリスクが存在するという事だ。
しかし、前述したビューフォートに関してはにおい問題もあり、洗濯を推し進めていく事にする。
※もしこの記事をご覧の方で洗濯(丸洗い)を試される場合は劣化・縮み・色褪せなどのリスクが多分にある為自己責任のうえ行っていただく様お願いする
洗濯の目的
まずは洗濯の目的について再確認。
●においを消す
●汚れのついたオイルを抜く
以上の2点。
加えて
●色褪せは最低限に抑える
●ダメージは与えない
上記の条件も加味しながら洗濯を進めていく。
全体的な状態については問題もない為、純粋にオイル抜きとにおい消しが主目的という事になる。
バブアービューフォートのオイル抜き(洗濯)
洗濯方法としてはお湯、洗剤を使用した手洗いで行い、洗濯機は脱水時のみの使用とする。乾燥機は使わず、通気の良い室内での陰干しで進める。
さっそく確認していこう。
浸け置きと押し洗い
まずはタライを準備。
ジーンズの洗濯で使っているもので、ジャケットがゆうに入るサイズを使用。
浴槽で行う事もできるが、オイルが付着してしまう為避けた方がよいだろう。
湯を投入。
高温(熱湯)にすればそれだけオイルを浮かせ取り除きやすくなるが生地への負荷と縮み、色あせを考慮し今回は40度前後にして行う。
少し浸けただけで白く濁る。これはオイルが浮いてきている為。
一度ゆすいでから洗剤を投入。色あせを抑えたいのでお洒落着用洗剤のエマールを使用。フレッシュグリーンがほどよく香る。
オイルを完全に取り切りたい場合は油汚れ用の洗剤を使うのも良いだろう。
今回は褪せ防止を主眼においている為おしゃれ着用洗剤を使用。
規程よりもやや多めに洗剤を入れ泡立てる。そのまま30分ほど浸け置いた。
すると、汚れは多少濁っているがそこまでひどくはない様子。オイルが浮き上がっているのがよく分かる。
全体を揉み込むように押し洗いし、すすぐ。
これを3回ほど繰り返し行った。3時間は要しただろうか。なかなかの重労働。
乾燥は裏返しての陰干し
そして乾燥。極端な縮み褪せを防ぐため室内で陰干し。
裏返しで乾かしていく。ポケット部や比翼部は乾きづらい為注意。
数時間でしっかりと乾かす事ができた。
におい
肝心のキツイにおいは消えただろうか?
かいでみた所においはしない。厳密にいえばオイルと生地自体のにおいはまだ残っている。しかし、鼻をつくような刺激臭は取り除く事ができた。
何度も水拭きを試しても消えなかった臭いは丸洗いをする事で随分と取り除く事ができるようだ。
やはり余分なオイル除去が効果を上げたのだと考えられる。
色褪せ
次に、色あせについてはどうだろう。
こちらは洗濯前。
褪色しやすい前部ポケット付近と袖部ではあるがまだまだ濃色。
こちらが洗濯後。
やはり色は落ちている。今回、こすり洗いはしていないし、洗剤も極力ダメージを抑えるもので進めてはいるがそれでも褪色はみてとれる。
しかし、これが熱湯を使用したりつよい汚れ落としの洗剤を使っていれば尚色は落ちている可能性がある。
縮み
そして、縮みについて。
裄丈82→81
身幅52→50
着丈74→72
以上ように各部に縮みがでている。
洗濯前には自然なシワだったポケット部も、
洗濯後はシワがつき、パッカリングがはっきりと現れていた。
そして、ジッパー部。
本体が縮んだ事によりうねりが現れた。見た目には変化があるが、ジップはそれでもスムーズに上げ下げ可能で使い勝手に問題はない。
このあたりの変化は好みにもよるだろう。個人的には非常に雰囲気が出ているので良しとしている。
まとめ
以上、バブアーオイルドジャケットの洗濯(丸洗い)によるオイル抜き。
結果、完全に無臭とはいかないのものの、キツイにおいに関してはほとんど消す事ができた。
これよりさらににおいを消すとなると、高温の湯を使用、油汚れ用の洗剤、ブラシなどでのこすり洗い、
このあたりが必須となってくるだろう。
※色褪せ・生地へのダメージにさらなる注意が必要
今回の洗濯(丸洗い)によるオイル抜きはまずまずの成功といえる。つよいオイルのカビ臭により着るに耐えなかったジャケットを復活させたのだから。
特に注意すべき点は色褪せと縮み。オイルに関しては再度自分でリプルーフしオイルドとして着用する事も可能だからである。
しかし、もしご自身でも試される方は、必ずリスクを承知のうえで行っていただきたい。
バブアーのオイル抜き(洗濯)。労力は非常に大きい。そのため愛着もひとしおとなるだろう。