デニムの裾上げ。
ジーンズを穿いていく上で重要かつ悩ましい問題のひとつ。
くるぶし丈やワンクッション、長めにたるませる等、考えや好みによりその処理は変わり印象を大きく左右する。
購入したばかりのデニムであれば自分のレングスにあっているとは限らない。ほとんどのジーンズは長めのレングスでつくられており、裾上げをして適正な長さで穿く事になる。
では、どのタイミングで裾上げするのがベストなのだろうか?
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デニムの裾上げはいつすべきか?
デニムの裾上げをするタイミングはいくつかに分けられる。
購入時
購入時の長いレングスのままではたるみも多くひきずってしまう。適正に裾を直し、すぐに穿けるようにする。
注意すべきは素材や防縮加工の有無。洗いをかける事により縮む可能性がある為その心配があるものであれば長めに裾上げをするか一度洗ってから行うのが無難になる。
メリットとしては全体がまっさらな状態で裾を直す為、違和感なく色落ちを進めることができる。
手にしてからすぐに穿いて楽しめるのも良い。
少ないがリゾルトをはじめ最初から多様なレングス展開を行なっているブランドもある。切らずに適正サイズが穿けるのはやはり嬉しい。
ワンウォッシュ後
もっともスタンダードな方針。
ノンウォッシュのデニムは水を通すことで縮む。
当然縮むのだからその後に裾上げを行う事により短くなってしまったり逆に長すぎたりを防ぐ。
代表的なもので言えばリーバイスの501。
縮むことはむしろ前提でシュリンクトゥフィットと呼ばれ縮ませながらカラダにフィットさせていくもの。
一度洗いをかけ縮みを確認した上で適正に補正する。
メリットとしては思い通りの長さで裾直しができる所。購入直後一度のみの洗いであれば全体の濃淡も付いていない為裾に違和感が残ることも無い。
注意すべき点としては一度の洗いで縮みきらない場合がある為気をつける。
適正サイズで直したつもりが次の洗いでさらに縮むということもありうる。
かといって長めに裾を直したとしても今度は思い通りに縮まなかったりもある為悩ましい。
「湯を利用する」「乾燥機を使用」など一度の洗いで最大限縮みを促進する方法もあるが無用に色落ちが進んでしまったり、捻れる心配もあるため考慮して進めていこう。
数回洗い縮ませてから
前述したとおり一度の洗いでは縮みきらない場合がある。
また、裾を切らずにしばらくフルレングスでたるませたり大きくロールアップしたりで楽しみたい人もいるだろう。
ロールアップの考察
そういった場合には「しばらくは切らずにそのまま穿いて数回洗った後に裾上げする」という選択肢がある。
メリットとしては縮みが完全に落ち着いてから裾を直す為長さを誤る事がない。
デメリットとしては全体の色落ちが進んでから裾を直す為、全体の進捗と裾の状態に差異が生まれやすいという所。
注意すべきは裾は色落ちが進んで無いのに他は色落ちしているという現象。
しばらく穿いてからのデニムの裾上げ
自身が愛用しているアーペーセーのデニム。
今回1500時間の着用後ようやく初洗いを行った。
ファーストウォッシュを行う事によってデニムは当然縮む。股下においては2センチの縮みが生じた。しかし最大で5センチ程度まで縮む個体もあるため元々5センチ程長めに裾を取ってある。
ということで現状3センチの誤差がある。これはロールアップでいう所のひと巻き分。
くるぶしを見せるように捲り上げる場合でも3ロールも必要になりこのままではどうしても厚ぼったい。
という事で非常に今更ではあるが思い切って裾直しをする事にした。
通常はここまで穿き込みを進めてしまうと前述したとおり裾と全体の色落ちに差異が生まれる。
しかし、9割以上はロールアップで穿いていた事もあり、スネより下の部分は濃色のまま残っている。
その為そこまで影響は無いと考え補正に踏み切った。
裾上げ直後の状態。
直しを入れた部分はどうしても平面的になる。それでも膝下の部位は濃色を保っている為直したばかりの裾だとしても比較的自然に映る。
アーペーセーのデニムの場合はデフォルトがシングルステッチ。同様に補正した。
シワは消え、わずかにあった裾のアタリはなくなり仕切り直しとなる。
裾上げしたばかりのデニムの裾の違和感をなくす方法
ここからは少し裏技的なもので進めていきたい。
裾上げしたデニムの裾を洗う
しばらく穿いたデニムを裾上げをした場合、その部分には多かれ少なかれ違和感が残る。
直したばかりの裾の部分とそれ以外の部位において色落ちの差異が生まれるからである。
その違和感を緩和し自然に見せる為の処理。これを行いたい。
裾のみ洗濯する
まずは補正した裾の部分にのみ水を通す所から。
まるごと洗う訳ではないので洗面器(バケツ)などの容器に水を張り行う。
縮みやねじれを出し切りたい場合は湯を使うのも良いだろう。
今回は極端に行うつもりは無い為常温水で実施。
裾のみを水につけ。
かるく揉み洗い。やりすぎると無用に色が落ちるので注意。
脱水をかけるほどではないので軽く絞って乾かす。
天日干しで乾燥
裾がまんべんなく風を通すように干す。
今回は天日干し。幸い快晴である。
しっかり乾かした後の状態がこちら。多少の縮みが出たおかげか生地が詰まりステッチに沿ったうねりが見て取れる。
平面的だった裾が良い意味でゆがみ自然な印象に。
この作業をせずに穿き進めた場合裾のパッカリングは出ない。あくまで人工的な処理をしたくないのであればそのままでも良いが今回はあくまで「裾の状態も含め自然に馴染んで見える」所を重視し、裾洗いを敢行した。
あとはさらに穿き込んでいくだけ。
まとめ
以上デニムの裾上げとタイミングについて。
あくまでジャストレングスで穿きたいのか、たるませたりロールアップで長めに穿きたいかによってもそのタイミングは変わっていく。
裾の処理から穿き方を決める。
裾はデニムの肝、それにより方向性は変わっていく。