所有しているワイルドスワンズのパーム。
購入して一年ほど経過した状態。
ほぼ毎日使用している事もあり、うっすらと汚れも見受けられ、少し表面がくもったような印象。
今回は、この愛用しているワイルドスワンズのパームのメンテナンスと手入れ方法について。
パームの購入レビューとサドルプルアップの特徴について

ワイルドスワンズパームの手入れ
自身が所有するパームの素材はサドルプルアップ。
前記事でもくわしく触れているが、強度としなやかさを持ち合わせた非常にバランスとれた革である。
このサドルプルアップ。堅牢で油分を含ませているという特性もあり、神経質な手入れはもともと不要。
しかし、そうは言っても使用にともなって汗やよごれは蓄積されていく。
ふだんはブラッシングのみの簡単な手入れのみを行なってきたが、油分の抜けも感じられるため、今回はしっかりとしたメンテナンスを行なっていきたい。
ブラッシング
まずは全体のほこりを払う所から。革製品のメンテナンスの基本である。
サドルプルアップは革自体が非常にキメが細かい事もあり、柔らかい布で乾拭きするだけでも十分とする意見も多い。
しかし、今回は少し踏み込んだ手入れ。道具も用いながら進めていく事にする。
馬毛ブラシ
そこで登場するのが馬毛のブラシ。
やわらかいホースブラシはほこり払いに最適。
内側のシワがよる部分やステッチ、金具の箇所はほこりがたまりやすい。凹凸も柔らかい馬毛ブラシであればくまなく払うことができる。
しっかりとブラッシング。状態によってはこれだけでも十分なメンテナンスとなる。
しかし今回の手入れはまだまだ続く。
汚れ落とし
ほこりに関しては、布やブラシで払えば良い。次は肝心の汚れ落とし。
汗の染み込み
常にバックポケットに入れているわけではないのだが、使ううちにどうしても革表面に汗は染み込み、汚れが蓄積されていく。
汗はアンモニアを含んでいるため革の艶をうばってしまう要因となる。財布は直接触って使うもの。
致し方ない事ではあるが、やはり一定期間使い続けた所で汚れをおとしリフレッシュさせておきたい。
水拭きとステインリムーバー
汚れ落としの方法としては、革製品で使用できるステインリムーバーが代表的。
しかし、革に負荷もかかるため、汚れがひどい時のみに使用を抑えていくつもり。
そこで、今回はきつく絞った布での水拭きで行うことにした。
※使い古した綿100のTシャツを使用
公式ページでも汗の染みこみ、汚れには水ぶきを勧めている。
とはいっても水に濡れる事自体は革にとって良いものではない。汚れ落としの際に注意しながらいつく絞り、最低限で行うのが前提。
ということで汚れがひどい所は入念に。それ以外は軽く拭き上げていく。
表面はまんべんなく。
汚れやすい小銭入れ部は入念に。
拭き取り完了。
乾燥
革に負荷がかかるため直射日光は避け、日陰での自然乾燥。
半日ほど放置し、乾燥させた状態。
水拭きしたこともあり油分は抜けて見える。
さあ、次は油分(クリーム)を入れていこう。
Mモゥブレイプレステージ クリームナチュラーレ
今回使用するのはこちら。
Mモゥブレイプレステージのクリームナチュラーレ。
革そのものを活かしつつ、適度な油分を補い、深い艶出しに期待が持てる一品。香りも素晴らしい。
他のものだとコロニルの1909シュープリームデラックスを使用している方も見受けられる。
無色の靴(保革)クリームであればおおむね代用可能といえるだろう。好みとこだわりで選んでいきたい。
塗りすぎを防ぐ為指先に少量。体温を活かしそのまま手で塗り込んでいく。
凹凸部や金具まわり、ステッチ部もまんべんなく塗布。
全体にクリームを塗り込んだのがこちら。十分に油分が感じられる。
艶も復活。
豚毛ブラシでささっとブラッシングし余分なクリームをかき出し、ムラを均等に。
しかしまだまだ磨き上げたい。
磨き上げ
最後の仕上げ。
艶出しグローブで磨き込む。このサドルプルアップ。始めは艶がないが使いこむにしたがって深みをましどんどん艶が増していく。
ゆえに磨き込みも愉しい。
ワイルドスワンズの特徴でもある美しいコバの処理。劣化もみられないため今回は特に処理はしない。
シワやキズは細かく刻まれている。しかしこれこそがサドルプルアップの特色であり経年変化。キズが増えると同時に革そのものの深みが増していく。
仕上がりとまとめ
仕上がりがこちら。
ボタン部の凹凸が表面に出てくるのもパームの特徴。使い込むにつれくぼみがはっきりとわかる様になる。
磨き上げが上手な方であればまだまだ光らせることが可能だろうが、それもそこそこに。
適度に状態を保ち、またガンガン使う。気負わず適当に扱えるのもサドルプルアップの魅力。
キズもシワも深みに替え、じっくり育てていこう。