デニムを選ぶ際、様々にポイントを絞って決めていくことが多い。
例えば、色落ちやデザイン、それにディテール。
所有のA.P.Cジーンズの穿き込みとエイジング

そして、セレクトの際に欠かす事ができないのが、ジーンズそのもののシルエットである。
今回は、数あるジーンズのシルエットの中でも、ゆったりとしながら使い勝手の良いワイドテーパードについて。
リーバイスをはじめその他ブランドの代表作や種類について、確認していく事にする。
ワイドテーパードのジーンズ(デニム)
個人的な見解であるがワイドテーパードジーンズ自体、デニムの王道シルエットというよりはあくまで脇役であると感じている。
その証拠に、ワイドテーパードデニムを定番や代表作として取り扱っているブランドはその他のシルエットに比べ非常に少ない。
たとえばリーバイスの定番といえば501。
テーパードはかかっているが、ワイドではなくあくまで標準的なストレートシルエット。
定番501レギュラーについて

以前にも、ゆったりとしたテーパードデニムが欲しく探した事があるが、これというブランドや型を見つけることはできなかった。
非常に探しがいのあるシルエット、デニムカテゴリーであると考える。
ワイドテーパードとは?
では、ワイドテーパードとはどんなシルエットを指して言うのだろう?
ワイド→ 広い・大きい
テーパード→ 次第に細くなっていく
ワイドテーパードとは、腰回りからふとももまではゆったりと太く膝部から裾にかけて細くなるシルエットの事。
このように、きれいなカーブを描きつつ裾部に絞りが入っていくかたち。
ただのワイドよりも裾の絞りのおかげですっきりとして見え、余裕のあるわたり幅により快適な着用感もここにあった。
機能的かつスタイリッシュ。ワイドテーパードは非常に現代的なシルエットであるといえるだろう。
リーバイスのワイドテーパードデニム(ジーンズ)と種類
では、テーパードデニムのブランドと種類についてピックアップしていこう。
まずはデニムの王道リーバイス(levis)のワイドテーパードデニム(ジーンズ)について。
リーバイス550
ジーンズの王道ブランド、リーバイス(levis)。しかし、そのメインラインにはワイドテーパードモデルはとても少ない。
こういった所からもワイドテーパードジーンズが定番シルエットとして捉えられていない事がわかる。
そんな数少ないリーバイスのワイド&テーパードのモデル、それが550である。
リーバイス550は深い股上、テーパードのかかったリラックスしたシルエットをもつ品番。
1985年に初めて登場し90年代前半まで展開されていたモデルである。
背景としては、当時流行していたデザイナーズジーンズに対抗。
リーバイスは550ストリートやパンクカルチャーから影響を受けたものとして投入され、人気を集めていった。
一時ラインナップが止まるが2020ごろに流行していったオーバーサイズシルエットや古着カルチャー、90年代ファッションの再燃により現行でも展開が見られるようになった。
ワイドに分類されるジーンズながらほどよいゆとり。
汎用的に使用する事ができる。
後述するシルバータブの前身と呼ばれるのがこの550。
良い意味でリーバイスらしくないルーズシルエットが新鮮な一本となっている。
リーバイスシルバータブの種類とバギー(Baggy)
リーバイスシルバータブは1990年代に登場したリーバイスのコンテンポラリライン。
スケーターなどのストリートスタイル、HIPHOP、レイヴカルチャーの流行とも合致し、その空気感にあったルーズフィットモデルを中心に展開されていた。
代表的なモデルとしてはゆったりとしたワイドながら裾にかけてテーパードのかかるバギー(buggy)。
テーパードのないストンとしたワイドシルエットのルーズ(loose)。
股上が浅くややテーパードがかかったかたちのリラックス(relax)。
以上の代表モデル3型。
なかでも、バギー(buggy)はワイドながらバランスの取れたシルエットが絶妙なシルバータブの定番。
ルーズながら使いやすい人気モデルで、復刻版もリリースされている。タイトからルーズ、またタイトへと変遷がある流行にとらわれず使用できる貴重なバランスのモデルといえよう。
以上リーバイスのワイドテーパードデニムの定番について触れてきたが、全体的に見ればストリート色がつよく、良い意味でクセがあるシルエットが特徴。
そんな中でも定番的な550やシルバータブのバギーは、シンプルなスタイリングにも十分に組み合わせていける良品といえるだろう。
各ブランドのワイドテーパードデニムと種類
続いてリーバイス以外の各ブランドとワイドテーパードデニムの種類についても確認していこう。
ヤエカワイドテーパード(yaeca )
YAECA(八重日)。8を重ねるとかいてヤエカ。
デイリークローズを追求し、必然的にシンプルなデザインを形にしたブランド。
カジュアルななかにも上品な雰囲気をもつヤエカのアイテム。
そして、そのYAECAの定番といえばワイドテーパードのデニム。
メンズ・レディース問わず非常に高い人気を誇り、上品かつリラックス感のあるシルエットが魅力。
シンプルなテーパードデニムが好みであれば条件に合致してくるだろう。
CIOTA
CIOTA(シオタ)は株式会社シオタが立ち上げた岡山のアパレルブランド。
原料選別から生地、織り、デザイン、縫製までの工程をすべて自社で行う事が可能で徹底したこだわりを持つ。
そんなCIOTAのインディゴスビンコットンを使用したワイドテーパードデニムはたくさんの支持を得ている名品。
ワイドテーパードどまんなかの綺麗なシルエット。ワイドながら洗練されたデザインがたまらない。
バギーなどワイドカテゴリの幅広い展開が特徴の注目ブランドである。
テンダー130(TENDER130)
TENDER Co.(テンダーコー )は1900年代前半の蒸気機関時代のワークウェアをコンセプトにした、デザイナーのウィリアムクロールによる希有なブランド。
以前の記事でも紹介しているため、詳しくはこちらそちらもご覧いただきたい。

自身でも所有しているテンダーの130はワイドテーパードど真ん中のシルエットでゆったりとしていながら非常に美麗なかたち。
ディテールのこだわりもたまらない。じっくりと穿き込みたい名品である。
ハツキ(HATSKI)ワイドテーパードデニム
2016年スタートのデニムを中心としたブランド。
自然の色彩を彷彿とさせる8月をテーマに、HATSKIが考えるあたりまえの「ふだんぎ」を展開している。
ブランドの要、デニムにも非常に定評があり、ワイドテーパードのジーンズも秀逸。
ナチュラルなシルエット。気負わずに着用する事ができる。
まさに上質な「ふだんぎ」。
オーディナリーフィッツ(Ordinary Fits) 5POCKET ANKLE DENIM
オーディナリーフィッツ(Ordinary Fits)は、デザイナーの児玉氏によりジーンズで有名な岡山は児島で2008年に始まったブランド。
「いま10年後ずっと先もFITする自分だけのORDINARYを」をコンセプトにデニムの聖地でスタートしたブランドらしくジーンズにも定評がある。
なかでも5POCKET ANKLE DENIMは程よいゆとりを保ちながらも綺麗なシルエット。絶妙なアンクル丈が着こなしを支えてくれる。
岡山デニムならではの経年変化にも期待が持てるだろう。
まとめ
以上、ワイドテーパードデニムのブランドと種類について。代表的なリーバイスの定番的なものから、他ブランドのものまで再確認することができた。
しかし、依然として多くの種類を扱っている著名な老舗ブランドでも「ワイドテーパード」に関しては、手をつけていない所も多い。
歴史の短いデニムブランドだからこそ積極的に展開している場合もみる事ができた。
それゆえ面白いし、探しがいもある。
自身の好みに合ったワイドテーパードデニムを探していこう。
ジーンズにおけるリラックスとスタイリッシュの融合はここにあった。