春先。寒かった冬も終わり、だんだんと暖かい日もふえていく頃。
そんな季節のアウターといえばスプリングコートである。
では、スプリングコートとはどんなものを指し、どのような種類があるだろう?
そして春コート(アウター)はそもそも必要なのか?
今回はスプリングコートの種類と必要性について。くわしく確認していく事にする。
スプリングコートとは?春コートの必要性について
まずはスプリングコートについて。
スプリングコートとは?
スプリングコートとは?
その名のとおり春(spring)に使用するコートの事で、トップコートとも呼ばれている。
広い意味では、デザインに関係なく春に使う薄手のコート全般をこのように呼んでおり厳密な決まりがない。
という訳で春用のコートそのものが「スプリングコート」という事になるだろう。
スプリングコート(春コート)はいらない?必要性について
スプリングコートは薄手のものが多く、冬のウールコートよりも防寒性は劣る。
その為使用できる時期(期間)は限られるといえるだろう。
という事であれば、スプリングコート(春コート)はいらないのか?
必要性について。メリットや素材感、コーディネートのレパートリー追加などその有用性をふまえ確認していこう。
スプリングコートを使用するメリット
スプリングコートのメリットについて。
季節感
まずは季節感を非常に簡単に表現できる所。
ファッションにおける季節感は非常に重要である。どんなにおしゃれで格好良い着こなしをしていても、そこに季節感が伴っていないと好印象には見えない。
例えば、気温も上昇し一般的には春が到来するだろう4月に、たまたま非常に寒い日があったとする。しかし、寒いからといって真冬仕様のダウンを着ていては「まだ冬服?」「暑そう」と思われても仕方がない。
そこでスプリングコート(春コート)が活躍する訳である。
こういった季節の合間の微妙な気温差にこそ活躍するのがスプリングコート。アウターとしてしっかりと存在感もあり冬物に比べ薄手でサラッとしたつくりの春コートが季節を簡単に表現してくれる。
スプリングコートの軽い素材感
そして、スプリングコートの優位性としてあげられるのが軽い素材感。
使われる素材としてはコットン、ポリエステルやナイロン、そしてこれらの混紡素材もよく見受けられる。
これが春コートらしさのポイントで冬の重厚なつくりのものに比べ、軽快。シワや薄い質感が爽やかな雰囲気を醸し出す。
コーディネート(着こなし)レパートリーの追加
そして、コーディネート(着こなし)レパートリーの追加。
スプリングコートは膝丈を中心にややロングな丈感のものが多い。
薄手なのにロング丈という春コートの特徴がコーディネート(着こなし)レパートリーの追加に役立つ事になる。
ショート丈やミドル丈が多くなりがちな春のコーディネートにプラスワンできるのは大きなメリット。
防風性
そして、防風性。
春と秋の違いとアウターに関する考察の記事で触れているが、春は風が強い日も多く、ほこりや花粉などが舞いやすい季節。

その為、ウールのような起毛素材よりコットンやポリエステル、ナイロンのような春コートに使われる素材の方が快適に使う事ができる。
季節感を出しやすく、使い勝手の良い素材感。コーディネート(着こなし)のレパートリーを増やす事ができ春の風や花粉に対して防風性も高い。
以上のメリットと有用性からもスプリングコート(春コート)は必要だと考える。
スプリングコートの種類とブランド
スプリングコートの種類とブランドについて。
そんなブランドと種類があるだろう?種類ごとに代表的なブランドについて確認していこう。
ステンカラーコート
まずはステンカラーコート。スプリングコートといえばこのかたちを思い出す方も多い定番コート。
バルマカーンコートとも呼ばれ、特徴は高い後ろ襟に低くなっている前襟。
ビジネスでも使用されるきっちりした印象を与えるベーシックなデザインのコートである。
シンプルなつくりが多く、その分素材や色、展開するブランドによってイメージも大きく変わる。
所有のnanamica(ナナミカ)のバルマカーンコート

マッキントッシュ
ステンカラーコートといえばマッキントッシュ(MACKINTOSH)。
マッキントッシュは1823年イギリスで創業。
老舗中の老舗であり、ゴム引きと呼ばれる撥水性に富んだマッキントッシュクロスを用いたステンカラーコートは誰もが知る大定番。
スタンダードなシルエットに高い防水性を持たせたクラシックな一着。長きに渡り付き合っていける世界的な名品。
マーガレットハウエル
続いてはマーガレットハウエル(MARGARET HOWELL)。
ロンドンのゴールドスミス・カレッジを卒業したマーガレット・ハウエルが1970年にメンズシャツを発表したのがブランドのはじまり。
シンプルなデザインとリラックス感のあるデザイン・シルエットが特徴的。シンプルとクセの融合が魅力的。
ブランドらしいシンプルで素材感を活かしたステンカラーコートは老若男女問わず支持も高い。
トレンチコート
続いてのスプリングコートに種類はトレンチコート。
トレンチコートはもともとイギリス軍が使用していたオーバーコートの事であり、塹壕を意味するtrenchからその名がついている。
肩についたエポレットや胸につけられたストームフラップ(雨よけ)、ダブルの前合わせにベルトと機能的に施されたデザインが特徴的でミリタリー出自ゆえの機能美はここから来ている。
バーバリー
トレンチコートのブランドといえば、誰もが知っているであろう英国ブランドバーバリー(Burberry)。
バーバリーはトーマス・バーバリーにより1856年に創業。ギャバジンと呼ばれる目が詰まったあや織の生地を用いたトレンチコートが代表作。
裏地のチェックはバーバリーの代名詞であり、もはや説明不要ともいえる。クラシックなトレンチは長い歴史を誇り今に至る。
スプリングコートとしての使い勝手としても申し分ない揺るぎない老舗ブランド。
アクアスキュータム
続いては前述したバーバリーと双璧をなす1851年創業の英国老舗アクアスキュータム(Aquascutum)。世界に誇る名門ブランドで代表作のトレンチコートは時代を超えて今も愛し続けられている。
アクアスキュータムとバーバリーはどちらのトレンチを選ぶかについて、熱い議論が交わされるほどの名品。
撥水加工が施されたギャバ地にオーセンティックなディテール、フォルムがたまらない。ベーシックがあれば他にはなにも必要ない事を体現している。
ワークコート
そして、今回確認していくスプリングコートの中ではもっともカジュアルなものに当たるワークコート。
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ワークコートはその名のとおり作業用、労働用のコートで、コットンなどシワ感のある素材でつくられかしこまった雰囲気になりすぎないのが特徴。
分類上はショップ店員の作業用で使われるショップコートやほこりよけの意味で使われるダスターコートもワークコートとして分類される。
ヤーモのダスターコートについて

ラフに羽織りたいスプリングコートとしてもおすすめの種類。
ジョンブル
ワークコートのブランドとしてはやはりカジュアルを得意とするブランドジョンブルから。
1952年日本で創業したジョンブル(Johnbul)は「一流のものづくりをお客様の生活の中に届ける」をコンセプトにベーシックながら新しい要素との共存を体現している。
デニムの産地、岡山のブランドらしいデニムとのコーディネートにも馴染むワークウェアベースのつくり・
コート特有のキレイすぎるつくりを上手に中和している。
ナイジェルケーボン
続いてはナイジェルケーボン(Nigel Cabourn)。
1980年発足のイギリスのブランドでミリタリーやヴィンテージをベースとし、流行にとらわれないデザイン・機能を組み合わせたものづくりが魅力。
ダスターコートは実に無骨。ラフでざっくりしたつくりは気負わずガシガシと着込むことができる。
スプリングコートの種類と必要性のまとめ
以上、スプリングコートの必要性とその種類・ブランドについて。
多くの種類が存在し選びがいのあるスプリングコート(春コート)。
手軽に季節感を表現し、マンネリしがちな春アウターに華やかなレパートリーを加えてくれる事からその必要性は十分にあると考える。
さあ、春はすぐそこに来ている。春コーデの主役、スプリングコートを着こなそう。