ジージャン(デニムジャケット)は格好良い。
短い丈がもたらす独特なシルエットとワーク然とした無骨なディテール。つくられた時代背景や歴史についても実に興味深いアイテムである。
そんなジージャンであるが、最大の魅力といえば、やはり色落ち。
今回はジージャン(デニムジャケット)の色落ちについて。所有しているA.P.Cのデニムジャケット3000時間経過のエイジングと経年変化に触れながら確認していく事にしよう。
自分が知る限りジージャンの色落ちについて取り上げている記事やブログはジーンズのそれに比べると非常に少ない。
ジーンズに比べ、着用する人が少ないのと色落ちが遅い事。これらが影響しているのではと考えている。
その為今回の記事が少しでも参考になれば幸い。記録も兼ねて見ていく事にしよう。
ジージャン(デニムジャケット)の色落ちとエイジング(経年変化)
ジージャンの色落ちについて。
そもそもジージャンは機能面で優れたジャケットではない。ゴワゴワしたデニム地は着心地が良い訳でもなく、洗えば縮む。夏は暑く、保温性も低い。
しかし、それを完全に覆すほどの魅力。それがジージャンの色落ちにある。ワークジャケットらしいデザインに、それを着込むことによってできるエイジング(経年変化)は他のアイテムにはかえられない。
自分がジージャン(デニムジャケット)を好んで使用する理由はここにあった。
A.P.C(アーペーセー)のデニムジャケットと色落ち
所有しているアーペーセー(A.P.C)のデニムジャケットについて。
A.P.Cのデニムは色落ちが良い。
このように取り上げられる事は非常に多く、愛用しているA.P.Cのジーンズの色落ちからもその事を実感している。
A.P.Cジーンズの色落ちについて
デニムジャケットもジーンズと同様に国産デニムを使用。縫製は海外で行われているものの、日本が誇るデニムメーカーである「カイハラデニム」のものを採用している。
フランスのブランドであるA.P.Cが日本のデニムを採用しているというのはなんとも嬉しい。
創設者のジャン・トゥイトゥ(Jean Touitou)が日本のブランドであるケンゾー(KENZO)で働いていた事も関係しているのだろう。加えて、それほどにジャパンデニムの品質が認められている事になる。
アーペーセーのジージャン(デニムジャケット)のなかで、自分が所有し、色落ちを進めているのがデニムワークジャケット。
しっかりとした14.5オンスのリジット(生デニム)デニムでいちから着込んでいく事にしていた。
A.P.Cのデニムジャケット(ジージャン)の種類
可能な限り着用するとしてMAXで着用できる場合は1日10時間程度。1000時間目までは週4、5回の高頻度で着用しファーストウォッシュ以降は週1、2回程度の着用で進めていこうと決めている。
色落ちへの期待は大きく膨らんでいった。
A.P.Cデニムジャケットの色落ちとエイジング(経年変化)
では、アーペーセーのデニムジャケットの色落ちとエイジングについて。時間の経過ごとに進捗を追っていこう。
ジージャン(デニムジャケット)のエイジング方針
まず最初に、色落ちの進め方。エイジング方針についてまとめておく。
● メリハリ、濃淡ある色落ち
● ファーストウォッシュ(初洗濯)まではできるだけ洗わずその後は適度に洗濯
● 極端なダメージに注意
以上のように。ファーストウォッシュまではできる限り洗わず着用を続け、濃淡のある色落ちを目指していく。ダメージには注意を払いじっくりと育てていくつもりである。
着用開始
では、着用開始から250時間目までの進捗について。
全体像。
着用1ヶ月程度で250時間経過。当然リジットの状態からほとんど変わらない。ほんの少し青みがつよくなっただろうか。
襟部。
わずかに白いアタリが見受けられる。ヴィンテージの個体をみるとまずここが破れている。
常に擦れる箇所のため色落ちもかなりのスピードで進む所。難しい部位ではあるが極力ダメージに注意を払いながら進めていきたい。
袖部。
ここもとにかく擦れる箇所。古着では大概の場合擦り切れて破れている。
自然にダメージが入るのは仕方ないが、ボロボロになってしまうのは避けていきたい所。
A.P.Cのデニムジャケットは少し袖が長いタイプというのもあり、二度ほど折り返し、捲って着用することで袖がアタリすぎない様着る事も可能。
腕部。
デニムジャケットにおけるハチノス育成ポイントがこちらである。
ノンウォッシュでシワが固定するまで着続けないと綺麗に出ないため根気が必要で、古着のジージャンを見てもはっきりしたハチノスができている個体は少ない。
シワが定着するまで着続けず洗濯してしまっている事、洗濯頻度が高い事が影響しているのだと考える。
尚、サイジング・フィット感も重要で、タイト〜ジャストフィットで着用しなければメリハリに効いたハチノスをつくるのは難しい。
同ブランドのプチスタンダードを愛用しており、かなりのヒゲ・ハチノスをつくる事に成功したが、ジージャンの場合はそう簡単にはいかないだろう。
背中(バック)。
デニムジャケットは構造上前面より後ろ(バック)の方が擦れるし色落ちが進行する。
座り仕事、車移動が多い人はなおさらにエイジングが進んでいく。
よく背中の中央だけ色落ちしたデニムのバックスタイルを見るがそれが理由。
しっかりとシワがついており背中にもハチノスが現れた。引き続きしっかりと着込み、育てていこう。
500時間目の色落ちと経年変化
続いて500時間目の進捗。
全体。
リジット時に比べると多少青くなってきてはいる。ただし、擦れている部分以外はリジット状態のままで変化は少ない。
500時間目の印象としては、糊の効果が薄れた事により硬さは無くなり(特に腕部)着心地が良くなっていた。
正面に変化は少なくアタリは腕、袖、襟の部分に集中しているのが分かる。
襟部。
ここは汚れもつきやすい為状態に気をつけて着用する必要があるだろう。極度に暑い日や汗をかきそうな場合は脱いだり着用を避け、連続で着ない等で対処していく。
袖部。
順調に擦れ、色落ちが進んできている。この部分は人によって非常に差が出る部位となる。袖ボタンを開けて着るのか?デスクワークが多くて擦れるのが速いのか、捲って着用する事でアタリが少ないのか?
このように着用状況で表情は大きく変わる。
個人的には、極端に落ちるのを避けるため適度にまくったり、ボタンを止めてみたりと気分によって変えている。
腕部。
可動する部分が色落ちするため変化が見て取れる。ジャストサイズでサイズ選択した事もありハチノスが育ち始めていた。
ここはメリハリがついて色落ちの個性が出る部位でもある。じっくり育てていきたい。
腕部。
500時間目でもっとも色落ちが進んでいる箇所といえるだろう。正直色落ちというより擦れ。タイトな脇部のサイジングによりシワがきざまれている。
ジーンズ(デニムパンツ)でいう所の股に当たる箇所ともいえる。ダメージで穴が開く可能性も高いため状態に注意しながら進めていこう。
背中(バック)。
ジージャンの色落ちにおける個人的オススメポイント。背中のシワが独特で、リジットから着ていかないと中々できない部位。座りが多い為比較的色落ちが進みやすいと考えている。
どうしてもジーンズ(デニムパンツ)に比べるとデニムジャケットの色落ちは進まない。そのうえ腕や襟部などにアタリが偏ったりでジーンズのそれよりも難しい事が多い。
その分根気強く進めていきたい。
1500時間目の色落ちと経年変化
そして1500時間経過。ここまででファーストウォッシュ(初洗濯)を完了している。
ジージャン(デニムジャケット)のファーストウォッシュ
全体像。
青みがつよくでており柔らかく色落ちが進んできている。やはり一度でも水を通した事が大きい。洗いまでの長い期間着用を続けていた為シワはハッキリと現れているのがよく分かる。
腕部のハチノス。色落ちはまだこれからになるがシワの定着が見て取れる。進捗に期待したい。
袖部。
端の部分が擦れ、しっかりと色落ちが進んでいた。
やはりファーストウォッシュを終えたあたりから色落ちのスピードは加速していった。
全体の青みとアタる部分とそうでない部分の対比が美しい。
2300時間目の色落ちと経年変化
そして2300時間経過。
全体像。
濃淡がくっきり現れ、迫力が増してきている。ジャケットの性質上腕周りの色落ちが進んでいるが、肩周りであったりフロントポケット周りなど濃色のまま維持している箇所もある。
脇部。
擦れ、濃淡がうまれしっかりとしたヒゲができている。まるでジーンズのヒゲのように仕上がってきた。
深くついたシワのおかげかハチノスもくっきりと。
以上2300目の進捗。色落ちにメリハリがついてきた為非常に雰囲気のある進み具合となっている。この調子でガンガン着込んでいこう。
3000時間目の色落ちと経年変化
そして、いよいよ3000時間目に到達。
洗濯は合計で4回。初洗濯まではできるだけ洗わずに引っ張り、その後は汚れを感じるまである程度着込み、無理せず洗っていた。
全体像。
なかなか落ちなかったフロント部の色落ちが進んでいるのが分かる。全体的に白く抜けてきているものの、まだまだ濃色の箇所は多い。
腕のハチノスも非常に満足でしっかりと育ってくれた部分。
バック部。
背中にもシワが現れた。複数回洗いをかけた事によるパッカリングも見て取れる。どうしても腕部中心に色落ちが進みやすい箇所に偏りは出ているが、それもアジであろう。
アジャスター部。
独特のアタリが見られる箇所。端から白く抜けているのがよく分かる。ボタンのまわりに強い濃淡が現れるのも気に入っている。
背中。
シワがつきハチノスがこんな所にもうまれている。サイズ感や着用方法によっては出ない箇所だろう。ややタイトなサイジングとボタンを閉めて着用した際に刻まれていったものだと考えている。
フロント。
ボタンのまわりに濃淡がついているのが分かる。
洗濯時や乾燥時にボタンを閉めたまま行ったのも正解だっただろう。
腕部のハチノス。
しっかりとシワがつき濃色部分とのコントラストが素晴らしい。
脇部。
よく擦れるためヒゲがくっきりと。きっちりフィットしていなければここは簡単に出ない。
袖部。
デスクでの作業中に着用する事も多かった為この箇所は色落ちの進みが非常に速い。
フロントポケット部。
フラップのパッカリングがしっかりと。角が擦れて白くなっているのも良いアジである。
襟部。どうしても擦れ白くなる箇所。
色落ちは避けられない為仕方ないが、穴・破れはないように気をつけて進めてきた。引き続き注意していきたい部位となっている。
以上3000時間目の進捗。洗濯頻度を上げたことによりやや青みが抜け全体的にエイジングが進んできている。しかしまだまだこれから。
しっかり着込み、洗う。引き続き着倒していくつもりである。
ジージャンの色落ちとA.P.Cデニムジャケットのエイジング(経年変化)のまとめ
以上。ジージャンの色落ちとA.P.Cデニムジャケットの3000時間経過のエイジングについて。
色落ちが進んだデニムは格好良い。ジーンズに比べ着用頻度が低くなりがちなジージャンであるが、着込む事によりつよい濃淡が現れアジのあるジャケットに変わっていく様は素晴らしい。
所有のA.P.C(アーペーセー)デニムジャケットもメリハリある色落ちに育ってきた所。
しかしまだまだこれからである。さらに着込み、ジージャン最大の魅力である経年変化を楽しんでいこう。
デニムジャケットの色落ち。自分だけのエイジングが待っているのだ。