マウンテンパーカ。本来は「山岳用パーカ」の名のとおりアウトドアウェアのひとつ。
しかし、実際は山登りの用途としてだけではなく街着として使用できるようアレンジされたものも多く、様々なブランドから展開されている。
今回は、そんなマウンテンパーカの元祖、ロクヨンクロス(60/40)を使用したシエラデザイン(SIERRA DESIGNS )のマウンテンパーカについて。
シエラデザイン(SIERRA DESIGNS)について
まずはシエラデザイン(SIERRA DESIGNS)について。
シエラデザイン(SIERRA DESIGNS)とは?
シエラデザイン(SIERRA DESIGNS)は1965年にジョージ・マークスとボブ・スワンソンによりアメリカのカリフォルニア州リッチモンドで創業したアウトドアブランド。
ブランド名は雄大なシエラネバダ山脈から名づけられている。
1968年には当時の高機能素材を使用した60/40マウンテンパーカを発表。
この名品は発売から50年以上経過した現在でも非常に高い支持受け、現在に至っている。
ロクヨンクロスとは?
シエラデザイン(SIERRA DESIGNS)をかたる上で欠かす事ができないもの。それがロクヨンクロス。
ロクヨンクロス(60/40)
ロクヨンクロス(60/40)とは?
ロクヨンとも呼ばれ、名のとおり綿60%ナイロン40%の混紡素材の事を指す。
シエラデザインが1960年代に開発し、横糸に30番手の強度の高いコットン、縦糸に密度の高いタイプ66ナイロンを使用する事で丈夫かつ防水性に優れたものになっている。
化繊よりも耐火性に優れた綿素材と縦のみで使用する事によりひっかき傷や摩擦強度にもすぐれている事もその特徴。
当時はGORE-TEXのような透湿防水素材もなく実に画期的な機能素材であった。
素材感
艶がありしなやかさも感じられる質感。コットンの自然な風合いとナイロンの光沢をあわせ持つのがロクヨンクロスの特徴。
コットンを用いている為通気性もよく取り回しも良い。使い込む事によってシワがつき色が褪せ、経年変化にも期待が持てるだろう。
防水性能
続いてはロクヨンクロスの防水性について。
前述したように横糸のコットンと縦糸のナイロンで組み合わされている。その為、雨等の水分を含んだ際に横糸のコットンが膨張し糸の目が詰まる事で水を通しにくくするという仕組みで成り立っている訳だ。
水をはじくロクヨンクロスの表面。
水を含めば撥水し、乾けば通気性に優れた絶妙な混紡素材。
もちろん、現代のハイテク素材の防水性能にはかなわないが、素材の特性を活かした撥水機能が魅力的。質感と機能の両立がここにあった。
ロクヨンクロスを使用したスタンダードサプライのリュックについて
シエラデザインのマウンテンパーカの種類
そんな、ロクヨンクロスはシエラデザインの定番マウンテンパーカに使われている。
シエラデザインのマウンテンパーカは1968年の発表から長きに渡り愛され、そのクラシックなデザインと機能性は今も引き継がれている。
多くの種類が展開されている為各モデルについて確認していく事にしよう。
マウンテンパーカ(60/40 MOUNTAIN PARKA)
まずは、もっとも定番のマウンテンパーカ(60/40 MOUNTAIN PARKA)について。
ラグランスリーブに一体型のフード、素材はもちろんロクヨンクロス。当時からデザインやつくりもほとんど変わらず現代に伝わる名品。
マウンテンパーカの歴史はここから始まったといって良いだろう。
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ブランドが誇るベストセラーで、ジップとスナップのコンビ仕様のフロント、機能的なフラップポケット、フードコードのレザーストッパーとマウンテンパーカーらしいディテールが備わっている。
ショートパーカ(60/40 SHORT PARKA)
続いては、やや短丈のショートパーカ(60/40 SHORT PARKA)。
取り回しの良いショートレングス。軽快でバランスの取れた丈感はタウンユースにも適している。
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クラシックデザインと機能性はそのままに街着としても使いやすい。短丈のため重ね着を使ったコーディネートも楽しむ事ができるだろう。
マウンテントレイルパーカ
続いては、1979年にSIERRA DESIGNS BLUE LABEL第1弾モデルとして発表されたマウンテントレイルパーカ。
他のパーカと違いロクヨンクロスに近い65/35の混紡生地を使用。上下から開ける事ができるスライダーも特徴的なモデルとなっている。
ライトパーカー(LIGHT PARKA)
そして、最後はライトパーカ(LIGHT PARKA)。残念よりながら現行品では取り扱いがない為、在庫分や中古などであれば入手可能なモデル。
ショート丈かつ軽さを重視したマウンテンパーカとなっている。
シエラデザインのパーカには他にも表地にナイロン100%を使用したものや生地が異なるものなど、生産時期や企画により複数展開されている為、好みで選んでいくのも良いだろう。
シエラデザインのマウンテンパーカの特徴
では、シエラデザインのマウンテンパーカの特徴についても確認していこう。
自分が所有しているシエラデザインのマウンテンパーカはショート丈のもの。
ブランドの象徴であるロクヨンクロスを使ったもので、ミディアム丈のマウンテンパーカと同様のディテールが施されている。
コードストッパー(豚鼻)
まずは、アウトドアの象徴的ディテールである革製のコードストッパー。
フードについたコードの留め具として使われている。
このコードストッパー、アウトドアのリュックにもよく見るものであり、元々はピッケルホルダーとして取り付けられていいた。
その形状から豚鼻(ブタバナ)とも呼ばれるアウトドアアイテムらしいディテールである。
ポケット
続いてはポケット部。
マウンテンパーカーの場合胸部、身頃下部両側に4箇所のフロントポケットが取り付けられているものが多い(ハンドウォーマーが配されているものもある)。
ポケットの数が多ければたくさんの物や道具を収納できる為、アウトドアウェアとしては非常に重要なディテール。
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所有ののライトパーカの場合は胸部にジップ式ポケットがひとつ、下部にはパッチポケットが設けられている仕様。
ジップ仕様はしっかりと閉め、入れたものを落とさない。
パッチポケット。アームウォーマーも兼ねているシンプル仕様。ミディアム丈のマウンテンパーカよりもタウンユースに落とし込まれているつくり。
以上ポケット部各モデルによって仕様にバラツキがある。
裏地はナイロン仕様。
中綿が入っていない為、保温性能はそこそこ。春秋メインでサラッと羽織るのに最適。
フロントジッパーとスナップボタン
フロント部はジッパーとスナップボタンの二重構造。
冷たい風の侵入をを防ぐことができる比翼仕立て。
刻印入りのスナップボタンが使われておりシックなデザインも魅力的。
クラシックな佇まいがたまらない。マウンテンパーカの元祖たる雰囲気を感じる事ができる。
袖部のベルクロ (マジックテープ)
袖口はベルクロ (マジックテープ)仕様。
メリットとしてはスナップ式に比べ、手袋をしていても脱着が容易に行える所。
万が一壊れてしまった場合でも、縫い付ける等補修も簡単に行える所がメリットとなる。
ロクヨンクロスとシエラデザインのマウンテンパーカのまとめ
以上、ロクヨンクロスとシエラデザインの60/40マウンテンパーカについて。
歴史に裏打ちされたロクヨンクロスの確かな機能性とクラシックなディテール。
定番パーカのベーシックなデザインにアウトドアアイテムらしい意味のあるディテールは今も変わらず魅力的。
マウンテンパーカの元祖シエラデザインのロクヨンパーカ。名品はこれからも愛され続けていくだろう。