デニムは洗えば縮む。
洗っては着込む事で独特の風合いが出て、楽しんでいけるのがデニムの魅力である。
しかし、洗濯する事で元々のサイズから大きく縮んでしまう事もあるし、リジットデニム(生デニム)であればその縮みは顕著になっていく。
サイズそのものが小さくなったり、あらゆる丈が短くなったりと、状態は様々。
化繊混紡や防縮加工のデニムの場合はそこまで大きな縮みがでる事もないが、綿100%の未洗いデニムであればその縮率はとても大きい。
今回はそんなデニムジャケット(ジージャン)の縮みについて。
所有しているアーペーセーとLVC(リーバイスビンテージクロージング)のジージャンにおける洗濯後の縮みを踏まえ、確認していく事にする。
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デニムは何故縮む?
そもそもデニムは何故縮むのだろうか?
綿(コットン)素材が縮む理由
それは綿素材の特性からくるもの。ではその元となるコットンはどうして縮むのか?
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綿は水を含む事により膨張するが、それが乾いた時に収縮が起こる。そこで「縮み」が発生する訳である。
特に新しい綿の場合、中空と呼ばれる水分を取り込める余白が存在するため大きな縮率をみせる。
リジットデニム(生デニム)の縮み
未洗いのリジットデニムが大きな縮みを見せるのは、「綿素材である事」と「水を通していない新しい綿である事」の2点の条件を満たしているから。
未洗いデニムを洗濯した際、想定より大きく縮んでしまい、着られなくなった方もいらっしゃるのではないだろうか?
かくいう自分も何度となく経験済み。ジーンズの裾が短くなってしまったり、トップスが小さくなり過ぎてしまった事もよくあった。
加えて言うと、こうなってしまうともう元には戻せない。着用を続ける事により多少伸びる事は考えられるがあくまで誤差の範囲内。
良くも悪くも天然素材がもつ特性がここにある。サイズ選びや縮み後の見越しなどに注意が必要だろう。
ジージャン(デニムジャケット)の縮み
では、具体的にリジットデニムのジージャンが洗濯後にどれだけ縮むのか、実際の数値も含め確認していく事にする。
ジージャン洗濯後の縮みについて
未洗い時には、ほぼほぼメーカーのサイズ表記どうりだったジージャンの実寸。前述したように、はじめて水をいれ、乾燥させる事で大きな縮みをみせる。
所有のアーペーセーとLVC(リーバイスビンテージクロージング)のジージャンについて実寸の記録を確認していこう。
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LVC(リーバイスヴィンテージクロージング)506について
アーペーセーとLVCのジージャンサイズと縮み・縮率
メーカーサイトのサイズ表記、未洗い状態、ウォッシュ乾燥後とそれぞれのサイズをそれぞれ下記にまとめてみた。
※LVCに関してはSサイズ・Mサイズの2サイズ分の記録があるため両方記載
まずはLVC(リーバイスヴィンテージクロージング)506の記録。
メーカー表記 | 未洗い実寸 | 洗い乾燥後実寸 | 縮率 | |
肩幅 | 47 | 48 | 44.5 | 7.3% |
身幅 | 108(バスト) | 52 | 49.5 | 4.8% |
袖丈 | 61 | 62 | 58 | 6.5% |
着丈 | 60 | 60 | 57 | 5% |
メーカー表記 | 未洗い実寸 | 洗い乾燥後実寸 | 縮率 | |
肩幅 | 50 | 50 | 46.5 | 7% |
身幅 | 112(バスト) | 56 | 52.3 | 6.6% |
袖丈 | 62 | 63 | 59 | 4.8% |
着丈 | 61 | 61 | 57 | 6.6% |
上記のようにSサイズ、Mサイズともに各部非常に大きく縮んでいる。
特に肩幅は7%以上という高い縮率。個体差はあるにしても1、2サイズ分はゆうに縮んでしまっている。
Mサイズの着丈に関しても6.6%の縮率で4センチと大きな縮み。ここまでいくと丈感もまったく変わってしまう為、購入時は十分に注意が必要だろう。
続いてa.p.c(アーペーセー)のジージャン。
メーカー表記 | 未洗い実寸 | 洗い乾燥後実寸 | 縮率 | |
肩幅 | 40 | 40 .5 | 40 | 1.3% |
身幅 | 45.25 | 46 | 45 | 2.2% |
袖丈 | 63 | 63 | 60 | 4.8% |
着丈 | 61.5 | 62 | 59 | 4.9% |
LVCに比べると肩幅、身幅はほとんど変化なし。しかし袖丈・着丈に関しては実寸で3センチ、縮率でみると5%弱という明確な縮みが発生している。
同じジージャンでも生地や製法、個体差によって縮率の違いも表れる事がわかった。
ジージャン(デニムジャケット)洗濯後の縮みと乾燥後の縮率についてのまとめ
以上、デニムジャケット(ジージャン)洗濯後の縮みについて。実際のサイズ変化を記録する事により、縮み具合を正確に確認する事ができた。
今回改めて感じたのは縮みによるサイズ変化が思いの外大きい事と、部位によって縮率が随分違うという所。
部位やメーカーなどによっても縮率は異なる為、リジットデニム購入時はしっかりと確認するのが良いだろう。
デニムの取り扱いの難しさはこの縮みという所にもある。しかし、縮みが出て変化するからこそ魅力的である。
洗いをかけて縮ませる事により自然にシワがより、縫製部分はうねり、綺麗なパッカリングを見せてくれる。
洗って縮めて着用して。体に馴染み自然に伸びた頃にはまた洗う。
これをくり返すのが楽しい。縮みはジージャンの魅力となっていく。
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