毛玉が好きな人はいない。
無ければない方が良いもの。
このように考えている。
なぜなら毛玉ができた場合、服としての美観は損なわれる。一般的には生地が傷み劣化が進んでいるものとみなされるから。
今回は、そんな毛玉について。
毛玉になりにくい条件やなりやすい服の素材、その原因について確認していく事にする。
毛玉になりやすい条件と素材
毛玉になりやすい条件や素材は存在する。くわしく見ていこう。
毛玉とは?
まず、毛玉とはどういうものや状態を指していうのだろう?
こちらはブルゾンの袖リブにできた毛玉。
毛玉とは、毛などの繊維がからまってできる球状のかたまりの事で、素材や摩擦起きる事などの諸条件により引き起こされる状態やそのものの事を言う。
毛玉の原因
ではこの毛玉、どういう原因でできていくのだろう。
どうやらこの毛玉というもの、長く使っていれば必ずできるというものではない。
購入したばかりのニット(セーター)にでもわずかな着用でできてしまう場合もあれば数年着続けていても全くできないケースも存在する。
ニットと選び方について

これらの違いには原因がある。
毛玉ができる服や素材の条件についても確認を進めていこう。
摩擦
大きな要因としてあげられるのは摩擦。
摩擦によって繊維の先端がからまり球状の毛玉となる。この擦れによって毛玉はつくられていくのである。
極端にいうと摩擦が無ければ毛玉ができる事はない。
摩擦をおこさないようにするのは、服を着る以上不可能だが、摩擦に気をつけるだけで毛玉の発生を抑える事が可能だと考える。
重ね着やバッグによる摩擦に留意する。これだけでも毛玉の発生をかなり抑える事ができるだろう。
素材
素材によって毛玉の出来やすさは大きく変わる。
たとえば繊維がからまりやすい素材であれば簡単に毛玉はできるし、逆であれば全くといって良いほどできない。
一見似たような起毛素材でもすべりが良いものだと絡まりづらいし、髪の毛のように表面に凹凸があるものであればすぐに絡まり毛玉はできてしまう。
かたい繊維を使用した素材では毛玉はより強く絡まっていく。つまり固く結ばれ毛玉はほどけないという事。
毛玉になりにくい服となりやすい服
なりにくい素材となりやすい素材
では、毛玉のできやすさは服によってどうのように変わるだろう。
特に大きく区別できるのが天然繊維と化学繊維による違い。
天然繊維
まずは天然繊維について。
コットンやシルクなどの天然素材は毛玉ができにくい。
実際自分が使用しているコットン100%のシャツやスウェットで毛玉ができているものは無い。厚手の綿を使用した服できることもあるがが非常に稀。
綿(コットン)100%のブロードシャツ。
2、3年はゆうに着用しているが毛玉ができる気配は全くない。
比較的毛玉になりやすい天然繊維は存在していて例えばウール(毛)。
起毛しており繊維の表面がすべりにくい事が大きな要因。それでも繊維自体はやわらかい為毛玉になったとしてもほどけやすい。
このように起毛しているか否か、繊維のすべりやすさ、からみやすさ等の条件が重なり毛玉はつくられていく。
化学繊維
一方の化学繊維について。
総じて化学繊維でつくられた服は毛玉になりやすいと言われる。
これは繊維がかたくからまりやすいものが多い為と考えられ、なかでも化学繊維を混紡したものが非常に毛玉になりやすい。ほとんどこの混紡素材のケースで毛玉(しかも固い)が見受けられる。
ウールと毛玉
ニット製品の代表的な素材であるウール(毛)にできる毛玉についても見ていこう。
ニット製品を選ぶ際「毛玉のできやすさ」は非常に重要なポイントとなる。何故なら劣化スピードや手入れが必要かどうかに大きく関わっているから。
ウール100パーセントでもできる毛玉
同じ天然素材でも綿はできないウール(毛)だと毛玉はできる。
これは摩擦によって繊維がからまるからであって品質が悪いという訳ではない。
当然、高級ブランドのウールでも素材や取り扱いによっては毛玉ができてしまうと言う事。
こちらははウール100%のニット。少しわかりづらいが毛玉ができている。
同じウールニットでもできやすさの違いがあるが、それは「編みの状態」によるもの。
編みが緩ければ表面の繊維はからまりやすくなり、目が詰まっていれ繊維はからまりづらく毛玉もできづらくなる。
わかりやすい所でいうと、UNIQLOのファインメリノウールセーター。これは毛玉ができにくい。目が詰まっており繊維がからむ事が少ないから。
UNIQLOの名品ファインメリノカーディガン

一方、ローゲージでざっくり編まれたラムウールセーターだと状況は変わる。ウールの表面状態により摩擦が加わって、絡まりが生じる為である。
カシミアについてはこちら

ポリエステルは毛玉ができる
つづいては化学繊維(化繊)でできやすい毛玉について。
化繊が使われている服は非常に毛玉になりやすい。
その代表素材としてはポリエステル。
ポリエステルと毛玉
混紡素材としてのポリエステルは特にに毛玉ができやすい。
ポリエステルは服の素材としては100%で使われる事はそこまで少なく、混紡して使用される事が多い。
コットンに数%混ぜて速乾性を高めたり、しわになりづらくしていったりとメリットは多い。
しかし、毛玉に関してはとにかくできやすい。
下記の写真は頻繁に着用しているウール80%ポリエステル20%のニット。
日々のブラッシングに気をつけてはいるものの防ぐ事はできなかった。
ポリエステル混紡の素材はとにかく毛玉ができる。
加えていうと、化学繊維にできる毛玉は固い。繊維自体が固くからまるとほどけない。その為ブラシをいれてもきれいにほどけずかたまったままなのだ。
ポリエステルにできる毛玉もこうなってしまった場合は器具など使い取り除くしかない。
アクリル
そして、化学繊維で毛玉ができやすい素材としてはアクリル。
発色の良さやウールのようにチクチクしない等、用途によっては非常に便利な素材。
しかし、繊維が固く起毛しており毛玉ができやすい要素は多い。
「毛玉ができるのは避けたい」という事であればアクリルは選ぶべきではないだろう。
以上のように化繊は総じて毛玉ができやすい。
毛玉対策
では、できてしまった毛玉の対策についても見ていこう。
オススメ対策としては、できてしまった毛玉を専用の毛玉取りで取り除く。
電動の毛玉取り機は特に有効。
無駄負荷をかけずに表明の毛玉のみを取り除く事できる。
間違っても引っ張ったりしてはいけない。生地に穴を空けてしまったり無用なダメージを与える事になるから。
普段づかいで手軽に毛玉を取り除きたい場合、撫でて毛玉を取れるブラシも使いやすいだろう。
実際に毛玉取り機を使用し混紡素材の毛玉を取り除いたニットがこちら。
前述のポリエステル20%混紡のウールニット。だいぶ綺麗に毛玉を取り除く事ができた。
しかし、メンテナンスには手間もかかるし摩擦など注意したとしても完全には防ぎきれない。
となれば最初から天然繊維の服を選ぶのもひとつ。
実際100%のウール素材であればブラッシングのみである程度の毛玉を防ぐ事ができる。
対する化学繊維を選ぶ場合、起毛なのか繊維がかたいものなのか混紡素材なのか。それを自身で見極める事で毛玉のできやすさや傾向を把握し着用する。
毛玉への一番の対抗策。
それは素材(繊維)を知る事。
毛玉になりにくい素材を極めよう。
ウール100%ケリーウーレンミルズのリブニット
