リーバイスの557xx
通称3rd(サード)。
ファーストこと506XX、セカンドこと507XXに続くリーバイスの代表3型のうちのひとつ。ジージャンを語るうえで欠かせないリーバイスのジャケット。
1st〜2ndが自然な変化を遂げたのに比べ、3rdタイプは今までのワーク然とした雰囲気から一新、スタイリッシュでファッション性に富んだディテールへと大きな変化をみせている。
今回はそんなリーバイスの3rd(サード)こと557について。
バレンシア工場製(メイドインUSA)の復刻版557XXに触れながら確認していこう。
コンテンツ
リーバイス3rdについて
リーバイスの3rd(サード)とは?
リーバイスのサードは品番でいうところの557。
オリジナルも時代の移り変わりによって表記は変わるのだが、こちらは最初期型の復刻にあたる為、表記は「557XX」となっている。
サード型はもともと1962年から1966年の間製造されたモデル。
こうして考えると非常に短い期間につくられた品番ということになるのだが、それを感じることは少ない。
なぜなら後継モデルの70505(通称4th)は着丈こそ長いもののほぼ同型であるし、その後のモデルに関しても3rdモチーフにつくられたものが非常に多く存在するから。
現在でもよくみるジージャンの多くがこのサード型を原型とするものになっている。
実際今見ても古さを感じさせない洗練されたモデル。それが557xx。
無骨なワークテイスト、リーバイスのファーストについてはこちら
リーバイス557XX復刻版(バレンシア工場製メイドインUSA)について
現状、程度の良いオリジナルの557XXを手にするのはなかなか困難である。なんとかマイサイズで見つかったとしても、たいていは状態がわるかったり色落ちが進んでいるものがほとんどで、一から自分好みの色落ちに仕上げていく事は叶わない。
そんななか、本家リーバイス(リーバイスビンテージクロージング)からも復刻版557XXは販売されている。
リーバイスヴィンテージクロージング(LVC)以前の90年代から日本製など様々に存在するが、こちらはメイドインUSA。しかも評価の高いバレンシア工場で製造されたモデル。
この辺の復刻モデルに関してもタマ数は多くないのだがオリジナルに比べればまだまだ実際に手にすることができる。
濃色の状態から実際に着て楽しむ。この方向性で考えていきたい。
バレンシア工場とは
バレンシア工場とは、カリフォルニア州のバレンシアストリートにあるリーバイスの製造工場の事。
リーバイスの長い歴史をささえてきた工場だが、惜しまれながら2002年に閉鎖を余儀なくされている。
この工場で製造されたものの判別方法としてはボタン裏の刻印が代表的。
555の刻印はバレンシア工場でつくられたもの示している。
ちなみにボタン裏が500番台であればそれは米国製の証。別で所有しているメイドインUSAの501は553。工場の特定こそ出来なかったがこちらもれっきとした米国製ということになる。
90年代米国製のリーバイス501と色落ちについて
557xxについて
そんなバレンシア工場製の557XX。サードタイプのディテールや仕様を含め確認していく事にする。
ディテール
まずは、セカンドから大きく変化したディテールについて。
ポケット
三角型のフラップポケット。
それ以前のファースト、セカンドに比べ装飾性が高く、従来の貼り付け方ではなく内側から縫い付ける仕様に変更がかけられている。
ワークからカジュアル(ファッション)服としての変遷が見て取れる。現在のジージャンでもよく見られる定番的デザイン。
ステッチ
オリジナルは時期によってイエローステッチであったり、オレンジであったり、はたまた混在したものだったり。こちらの復刻はイエローステッチでの構成を基本に、一部オレンジステッチが混ぜられている。
バナナイエローは柔らく映え、オレンジははっきりとしたコントラストをうみだしている。
赤タブ(レッドタブ)
リーバイスの象徴である赤タブ。
フラップポケットに取り付けられるようになったのが特徴で記載はもちろんビッグE。
72年以降の70505(フォース)のスモールe表記まではこのビッグEの表示を保っていくことになる。
もっとも分かりやすい年代識別ディテールがこのレッドタブといえるだろう。
ボタン
銅製ボタン。
鈍く光るカッパーボタンはサードからの仕様で、フロントのイメージをモダンに飾る。
茶系のボタンはよりシックな印象で、ワークからファッションウェアへの切り替えの意向がディテールにも影響を与えていたのかもしれない。
ディテールの変遷はジージャンの歴史。
シルエット
557はボックス型を基調としながら、ウエスト部にかけて絞りの効いたシルエットとなっている。
短い着丈にシェイプがかかったスッキリシルエット。今見ても十分にスタイリッシュ。当時であれば尚更だったであろう。
では、実際の数値からも確認していこう。
36のサイズ表記で実寸は下記のとおり。
肩幅:46 身幅:50 袖丈:63 着丈:57
以上のように身幅はゆとりがあり袖丈は長め、一方で着丈は前述したとおり短い。
袖丈でサイズを合わせると着丈が短くなり、着丈で合わせると袖丈が長くなる。
ルックスは変化を遂げているが、ワークウェアらしさを依然踏襲している無骨なシルエット。
デザイン
続いてはデザインについて。
特徴的なのはそのステッチワーク。
前身頃に施されたV字のステッチ。ジージャンらしい表情をつくっている。
バックシルエット
サードを象徴するものとしてもうひとつあげられるのがそのバックシルエット。
これが実に美しい。
自然なカーブを描くステッチング。アジャスターとボタンのバランス。
何が欠けてもこのバックスタイルはつくれない。
この時代ですでに完成されているのが素晴らしい。そう、今更いじる所がほとんどないという事なのだ。
まとめ
以上リーバイスのサード(3rd)と復刻版557xxについて。
それまでのワークシルエットと先進的なデザインが融合されたまぎれもない名作。
オリジナルにこだわるか?復刻(レプリカ)をじっくり楽しむか?悩ましいところ。
現在まで続くデニムジャケットの基礎はここにあった。