デニムといえばリーバイス(Levis)。
ジーンズの原点であり、言わずと知れた歴史的ブランドである。
そしてジージャンといえば、これもリーバイス。
リーバイス(Levis)のジージャンは多くの種類が存在しており、製造時期や仕様や変遷によりさまざまに分類されている。
なかでも有名なのはファースト(1st)、セカンド(2nd)、サード(3rd)と呼ばれている3種類のジージャンだろう。
この3型は現在着用されているジージャンの基本形で、各ブランドのデザインソースともなっている。
今回は、そんなリーバイスの代表モデル、ファーストのジージャン(デニムジャケット)について。
その特徴について復刻版に触れながら確認していく事にする。
リーバイスのファースト(1st)のジージャン
デニムジャケットにおける初期型、リーバイスのファースト(1st)タイプ。
今日、皆に愛されている「ジージャン」はここから始まったといって良い。
ファーストタイプ(1st)506xxとは?
リーバイスのファーストとは?
1917年以前から製造されていたデニムジャケットに、はじめてロットナンバーが付けられたのがリーバイスの506xx。
これがファーストと呼ばれるジージャン。1957年頃に造られたセカンドタイプと呼ばれる507xxより前のものを指してこのようにいわれている。
補足すると、リーバイスのジージャンはつくられた時期やその背景に応じて仕様が大きく変わる為、同時期に製造されたものでもデザインやディテール違いが混在しているのが前提となる。
特に仕様変更の過渡期にはディテールが混じり合い中期?後期?どれ?となる事も多い。
同じファーストタイプなのにボタンの形が違ったりバックルの仕様が複数あったり、はたまたポケットにフラップの有無がみられたりするのはこの為。
変化自体がリーバイスのジージャンを体現している。なんともワクワクする話である。
これらを踏まえた上で、リーバイスのファーストの特徴について確認していこう。
リーバイスファースト506xxの特徴
リーバイスファースト506xxの特徴について。
仕様が様々ある為、特徴にも幅がある。わかりやすくする為独断で基準を設ける事にした。
● ボックスシルエット
● フロントの片側ポケット
● シンチバック(バックルバック)
以上の三点。
これらにファーストの魅力と特徴が凝縮されていると考えている。
ワーク然とした無骨なデニムジャケット。
前述したように仕様は年代や環境によって細かく変わる。所有の復刻版を参考にしながらディテールについても掘り下げていこう。
リーバイスファーストのディテールと仕様
リーバイスファーストのジージャンとそのディテールについて。
ボックスシルエット
こちらは所有しているリーバイスファーストの復刻版。71506という少し特殊なモデルで90年代日本製。
色々な意味で特徴的なこのモデルから仕様をを確認していこう。
まず目を引くのがワークテイスト溢れるボックスシルエット。
アームホールはゆったりのショート丈でジャストサイズでもかなりの短丈モデルとなっている。
現代的な着こなしをしたいのであれば、少し丈の長いインナーを使用してのぞかせたり、ジャケットそのものをやや着丈の長いモデルで選んであげる必要があるだろう。
しかし、オリジナルを踏襲した、このワーク然としたシルエットがたまらない。
片側ポケット(フラップ有無)
次はフロントポケット。
片側ポケット。
506xx(セカンド)以降は両側に取り付けられる為、ファーストにだけ見られるディテールで、こちらは大戦モデルの復刻版につきフラップ無し。打ち込まれたリベットが剥き出しになっているのも特徴的。
通常ファーストはこちらのように片側のフラップ有りのタイプとなっている。
復刻版や現行ブランドのデニムジャケットではフラップ有りが多いと感じるが、その方がコーディネートとしては無骨すぎず使いやすい為だと考えている。
フロントボタンの形状と数
続いてはフロントボタンについて。
ボタンの形状も変遷はあるが、基本型がこちら。リーバイスの通常ボタン。
ロゴが刻印されたシルバーの亜鉛ボタン。大戦モデルより前の仕様はこちらとなっている。
そして、これが大戦モデルがベースとなるとドーナツ型のボタンへ変更されていく。
戦時中の物資不足により採用されたもので、当時はロゴがない月桂樹刻印された仕様も多かった。
物資統制によるディテールの変化。これもファーストの歴史。
そしてフロントボタンの数も時代によって変化が見受けられる。
ジージャンのボタン数の基本は5つ以上。ファーストのジージャンもこれに倣っており所有の復刻版も5ボタン。
しかし、本来のオリジナルの大戦モデルの場合は4つボタン。物資統制の影響を受けブランド側でもこのように仕様を変えたという事になる。
リーバイスのジージャンは多様性があり本当に面白い。
デザイン的な観点で見ればボタンは5つあった方がの方がバランスが取りやすいのかもしれない。
実際、現代のリモデルされたデニムジャケットでは着丈の長さに伴い5ボタン以上のものが多く展開されている。
シンチバック(バックストラップ)と針の有無
そして、リーバイスファーストの象徴といえばシンチバック。
シンチバックとはジャケット後ろ部の付けられた尾錠の事で、バックストラップとも呼ばれている。
ワークジャケットらしい無骨なディテールで、リーバイスのジージャンの中でも1stのみに施された仕様。
なんとも荒々しくワークテイストを感じられる良ディテールとなっている。
さらに細かくシンチバックを掘り下げると、ファーストのオリジナル、特に初期型にはバックル部分に針が採用されており、生地に針を刺し込み調整する用途だった。
しかし、時代の変遷とともに家具や椅子を傷つける心配から省略されてく事になる。
このように現代のモデルのほとんどではPL法(製造物責任法)に触れるため針は使用されていない。
プリーツとボックスステッチ
ディテール確認の最後はフロント部の装飾部について。
目立つボタン脇に配されたボックス型のステッチ。
年代的にバナナイエローのステッチが施されており全面にあるプリーツ(縦に入るヒダ)を留める為に縫い付けられている。
細かくみていくとこのボックスステッチ、オリジナルの初期型であれば小さく縫われており、年代により糸のピッチも異なる。
ステッチの色についても時代変化が見て取れる。
ジーンズ(501xx)でもそうだがリーバイスは初期→中期と年代が進むにしたがいイエローからオレンジにステッチ色変わっていった。
過渡期では両方混在するようなモデルもあり非常の奥が深い。
ステッチからも歴史が感じられるとは、おそれいるばかりである。
リーバイスのファースト(1st)の復刻版と種類
リーバイスのファースト(1st)のジージャンは様々な復刻版が展開され、デニムブランド以外からもデザインソースを使用したファーストモチーフのジージャンが提供されている。
リーバイスの復刻版
本家リーバイスの復刻版ファーストについて。
リーバイスヴィンテージクロージング(LVC)
現代におけるリーバイスのヴィンテージ復刻ラインといえばリーバイスヴィンテージクロージング(LVC)。
LVCの506xxについて
所有しているこの506xxは復刻版ながらしっかりと存在意義がある。理由はどこでもないリーバイス自らが復刻しているから。
くわしくは以前の記事でふれているが、赤タブのBIGEやブランドロゴは当然本家でしか使えない。
リーバイスはオリジナルであり永遠に憧れの存在。
90年代日本製復刻版の71506
ファーストの特徴とディテールの紹介時に参考で使用していたのは90年代に本企画の71506というモデル。
ベースは一見すると大戦モデル。しかし最初期型ファーストモデルの廉価版(低オンス・染めの濃度が低い)の213をモチーフにしているとも考えられる。
特徴は下記。
フラップなし片ポケット
ドーナツボタン(リーバイスロゴ)
針無しシンチバック
5つボタン
ボタン脇のボックスステッチ(標準サイズ・イエロー)
タグの表記から製造年を確認する事ができる。末尾の数字から94年製と判断。
以上のようにファーストの復刻版といえどオリジナルそのままのレプリカモデルばかりいうわけではない(90年代当時に情報が少なかった為再現性が低かった可能性もある)。
その他ブランドの復刻版
リーバイス以外はからもたくさんのファースト復刻モデルが展開されている。
忠実に生地、ディテールを再現したものや、あくまで現代的にリモデルし実用的の落とし込んだものなど様々。
アメカジやワークテイストだけでなくストリートにおとしこんだオーバーサイズシルエットや洗練されたモードテイストのものなど実に多様。
好みに合わせて選んでいきたい。
リーバイス(Levis)ファーストタイプデニムジャケットのまとめ
以上、リーバイスファーストのジージャン(デニムジャケット)について。
ジージャンそのものの造りや特徴に加えて仕様とディテール変遷が興味深い。
様々なブランドから展開されている事からもわかる様に、改めてデザインそのものが優れていると感じている。
オリジナルを実際に購入して着用するのには希少価値が上がりすぎて難しいが、本家の復刻版や他ブランドの忠実なレプリカ、独創性をもたせたファーストモチーフものを選ぶのも楽しいだろう。
リーバイスファーストのジージャン。デニムジャケットの原点。これからもその特徴と歴史あるデザインを楽しんでいこう。
3rd(サード)タイプ557xxのジージャンについて