エムエーワン(ma1)。
定期的に流行がおとずれるショート丈の定番アウター。
今回はそんなエムエーワンの特徴と着こなしについて。
エムエーワン(ma1)とは?特徴とディテールについて
そもそもエムエーワンとはどんなものを指して言うだろう?
エムエーワンとは?
エムエーワン(ma1)とは?
ma1はミリタリージャケット
では、エムエーワンの特徴について確認していこう。
ma1はミリタリージャケット。いわゆる軍モノ(ミリタリー)にあたり、それゆえ機能を重視するという大前提がある。
デザインされている部分があったとして、必ず意味があり無駄なく配されている。
そう、オリジナルのma1はあくまでミリタリージャケットなのである。
アルファ(alpha)のエムエーワンとディテール
ではエムエーワンの特徴と個性的なディテールについて、所有しているアルファ(alpha)のエムエーワンを参考に確認していく事にする。
アルファ(alpha)のエムエーワン
アルファ(alpha)はテネシー州はノックスビルで設立され、アメリカ国防省より依頼を受け軍のジャケット造ってきた。デザイン、品質を兼ね備えたアルファのジャケットは高い信頼を得、現代まで続いている。
そんなアルファのミリタリージャケットの中でも非常に有名かつ評価が高いのがエムエーワン。
エムエーワンの素材
エムエーワンに使われる素材といえば光沢のあるナイロンツイル。
ナイロンツイルと経年変化
艶があり、かたく丈夫。フライトジャケットの素材といえばこれをイメージする方も多いだろう。
特徴としては摩耗に非常に強い事。所有のエムエーワンはブラックだが、ベーシックカラーであるセージグリーンは発色も良く色合いがよく映える。
経年で少しづつ褪せてくるのが特徴で、着込むことによりくすみ、独特の雰囲気を出すようになっていく。
古着でよく見るエムエーワンはそれが顕著で褪せが格好よい。そう、エムエーワンのナイロンツイルも経年変化するのだ。
エムエーワンのシルエットとサイズ感
エムエーワンのシルエットについて。
ショート丈
まずエムエーワンのシルエット見てひと目で分かるのがこのショート丈。
もともとは機内で座った際に邪魔にならない為の仕様で、この短丈は理にかなっている。
特有の絞られた裾も無骨で格好良い。
このショート丈こそがエムエーワンの「らしい」部分であり、後述するが着こなしが難しい部分でもある。
大きめのサイズ感
そしてサイズ感。
ゆったりと幅があり、大きめのシルエットはジャケットの上からでも着用する為で、過酷な寒冷地での着用に耐えうるつくりからこのようになっている。
機能最優先であしらわれたデザイン。なんともワクワクする所だ。
エムエーワンのディテール
所有の現行モデルはシンプルで代表的な部分だけが配されたデザイン。
外側のボディ部が比較的にすっきりとしているのは機内で物にひっかかったりのトラブルを避ける為。ここにも機能美は活きている。
そんなディテールも年代ごとに変化して今日の仕様となった。
ディテールの変遷についても少しふれていこう。
初期型につくフロントのタブ
ヴィンテージや復刻モデルでみる事ができるフロントタブ。
現行タイプでは省略されているがエムエーワンの初期型ではフロントタブが施され、用途としは酸素マスクを取り付ける為のものだった。
フロントポケットとフラップ
そしてフロントポケットのフラップについて。
実は現行に見られるフラップはもともとあったものではない。
1949年から1950年に初支給された際にはフロントポケットにはボタンのみの仕様。それが1970年代以降にフラップ付きに変化していった。
所有の現行ものは当然フラップ付き。入れた物が飛び出る事を防ぐと同時にほどよいデザインのアクセントとなる。
シガーポケット
時代の変遷を問わず特徴的な部分もある。
それは、左上腕部に配されたシガーポケットとペンホルダー。
通常のショート丈ブルゾンなどと比べ最もエムエーワンらしいディテールで、デザインとしても目を引く部分となる。
ジッパー
そして、フロントのジッパー部は仕様としては当時とほぼ変わらない。
大きい持ち手は厚手の手袋をしていてもグリップがしやすくする為。
なるほど実に機能的。
防風・防寒性
次に注目するのはその防寒性。
軍ものとしてはインターミディエイトゾーン用となっており、気温10度からマイナス10度での着用を想定されている。
ショート丈でありながら、ボディのナイロンは防風性に優れ、ふっくらと中綿が入っている事により温かい。
袖と裾のリブは冷たい空気が入らないようにしっかりとガード。
前部ジッパーを開放すると前立てが施してあり、風の侵入からも守ってくれる。
このように防風性・防寒性が高く、シンプルなルックスに機能が盛り込まれているのもエムエーワンの特徴。
後にフライトクルーだけでなく地上クルーにも使われ始めるが、それだけ機能的なジャケットだったという事になる。
レスキューオレンジ
ma1の裏地は非常に目立つオレンジ色。それもそのはず墜落時に救援部隊に発見されやすくする為のものでレスキューオレンジと呼ばれている。
着脱時にチラリと見える裏地のオレンジがきれい。独特の配色、着こなしのアクセントとしても使う事ができる。
実はこの仕様カバンで有名なポーターでも採用されている。
タンカーシリーズはma1をモチーフとしており外観はナイロンツイル地、裏地はレスキューオレンジを使用とまるでエムエーワン。なんとも面白い。
タンカーの3WAY
その他のブランドと現行エムエーワン
現在販売されているma1は当時のオリジナルに忠実なものだけではない。
なぜならオリジナルのエムエーワンは着丈が短く、身幅や腕周りもゆったり、着こなしが少し難しい存在。
そこで、ほとんどのブランドが現代風にブラッシュアップし流行に合わせた提案をしている。
例えば身幅、アームホールをタイトにしたもの。左腕のシガーポケットやディテールをあえて廃したものなど。
素材もナイロンに限らず季節にあわせたバリエーションでつくられている。
ヴィンテージやオリジナルに忠実なレプリカを支持している方にしてみれば、これら変化に富んだものは「エムエーワンではない」と感じている可能性がある。
しかし自分は、エムエーワンがかたちを変え、多くの人に親しまれるジャケットとなった事自体は、様々な服を楽しむ意味で喜ばしい事と考えている。
エムエーワン(ma1)の着こなしとコーディネート
では、そんな定番となったエムエーワン(ma1)。どのような着こなしがあるだろう?
コーディネートについても確認していこう。
エムエーワンとスリムパンツ
一時期によく見たma1のコーディネートとしては白ニットなどのインナーにスリムパンツ(黒スキニー)と革靴を合わせたもの。
トップはややゆったり、ボトムスはスリムパンツできれいにシルエットをつくっている。
セージグリーンのエムエーワンと黒パンツ、黒革靴の色あわせも明快でまとまりがある。
しかし、あえていうのであればあまりに既視感があるコーディネート。
量産型ファッションについて
できれば、もう少しひねった着こなしをしていきたい。
スリムパンツ以外の着こなし
スキニーや革靴を使わないコーディネートについて。
まずはボトムスから考える。
ゆったり大きめパンツのコーディネート。グレースラックスやコーデュロイパンツをほどよいゆとりをもって合わせる。
ma1のデザイン自体主張がつよい為、全体の色数を絞ってのコーディネートとなる。
かっちりしたスラックスだとしてもラフなデザインのMA-1はコーディネートをほどよくまとめてくれる。
コーデュロイパンツは太畝にしても面白そう。すっきりしたローテクスニーカーを選ぶのも組み合わせを整えるポイントだろう。
エムエーワンの流行とまとめ
流行は一定の期間を経て繰り返し訪れる。
エムエーワンの流行もそう。それに乗るのも良いだろう。
流行は勢いがあり変化がある。だから、自分のものにして着こなせるならば尚楽しいと考える。
流行について
一度流行すれば各ブランドではデザインに手を加え、様々なバリエーションで提案されていく。
そして、いつのまにか流行を通り越してma1はあってあたりまえの定番アウターとなっていった。
ma1。もうただの流行ではない。本当の定番を着こなそう。