秋冬通して使えるミドル丈のジャケットを探していた。
そんな中、常に候補にあがっていたのがバブアー(Barbour)のジャケット。
様々検討し、ようやく手にする事ができた為詳しく見ていきたい。
コンテンツ
バブアーのビデイルについて
バブアー(Barbour)とは?
バブアーの歴史
barbour(バブアー)はジョンバブアー氏により1894年イングランド北東部のサウスシールズ創業された老舗ブランド。
北海の漁師や水夫などの労働者に向けてワックスドクロスを使用したジャケットを提供したのが始まりで、防水性の高いジャケットは漁師達はもちろん第二次世界大戦時に海軍の搭乗服としても採用され、高い評価を受けていく。
やがて乗馬やハンティングなど英国上層級のアクティビティに使用されるジャケットとして英国王室からの強い信頼を築いていく事となる。
ロイヤルワラント
こうして高い評価を得ていったバブアー。英国王室御用達である「ロイヤルワラント」を授けられるまでになっていった。
ロイヤルワラントとは王室に対するサービスや商品が認められた証として与えられる称号の事。
中でもバブアーは1974年のエジンバラ公と1982年のエリザベス女王、そして1987年のチャールズ皇太子と3つのワラントを与えられている稀有なブランドである。
ビデイルについて
そんなバブアーのジャケットにおける代表作といえばビデイル(BEDALE)。
1980年に発表された乗馬用ジャケットであり動きやすいラグランスリーブやサイドベンツ、ライディング中にも使いやすいハンドウォーマーとアクティブなディテールが施されている。
基本系となるのはゆったりシルエットのクラシックビデイル。
アクティブなデザインの中にもどこか気品がただよう英国らしい名品ジャケット。
もちろんバブアーのジャケットはビデイルだけでは無い。
歴史でいえば1936年に発表され、多くのレーサーや俳優のスティーブマックイーンにも愛用されたライダースジャケットのインターナショナルの方が長い。
ビデイルよりもロング丈で選びたい場合はビューフォートをセレクトするのも良い。
スーツスタイルでの使用でも上着の裾を覆いスマートに飾ってくれる。
そんな数あるバブアーのジャケットの中から自分が選んだのはビデイルSL(BEDALE SL)。
クラシックビデイルに比べ身幅が細く日本人向けにフィットする様つくられたスリムフィットのモデルで2011年の発表以来高い人気を誇っている。
デニムに合わせてすっきりと着こなしたいのとミドル丈の取り回しの良さ、クラシックと現代的な良いとこどりを感じSLを選択した。
色もセージとどちらにするか非常に悩んだがオイルドが褪せてグレーに近づいていくイメージに魅力を感じブラックをセレクト。
期待は高まるばかりである。
ようやく手にしたオイルドジャケットの大定番。くわしく見ていこう。
ビデイルSL購入レビュー
ディテール
個性的でありながらベーシック。ビデイルの魅力溢れるディテールから確認していく。
コーデュロイの襟
ビデイルの顔といえばコーデュロイ素材が採用された襟。
保温性を保ちつつも絶妙なアクセント。
ボディと微妙に異なる色を使っている所もポイントで艶ありオイルドコットンとのコントラストが映える。
ちなみにビデイルSLの襟幅はクラシックビデイルよりも小ぶりで狭い。全体的にスリムなシルエットに仕上げられている為バランスが良いのだろう。
襟を立てて使用できるのも特徴。スナップで止め、風の侵入を防ぐ事ができる。
付属のピンバッジは襟に着けて楽しむ事もできる。
オイルドコットン
オイルドとはその名の通りオイル(油)を染み込ませた状態。
オイルを染み込ませる事で生地に防水性と防風効果を持たせ、悪天候下でも高いパフォーマンスを得る事ができる様に施されたもの。
ビデイルの防寒についての考察はこちら
オイルドクロスは昔ながらの手法で歴史あるバブアーにふさわしい独特のディテールである。
深い光沢。擦れしわになり着込むことでオイルが抜けアジになっていく。オイルが不足すればリプルーフと言って再度塗り直しを行いメンテナンスしながら付き合っていけるのも魅力。
リプルーフは専門業者に依頼する事もできるしソーンプルーフドレッシングを用い自身で行う事も可能。
作業にコツがいる為(失敗するとムラになる等)自身で行う場合はしっかりと把握した上で行うのが良いだろう。
このように非常に味わい深いオイルドコットン。
しかし、明確なデメリットも存在している。
オイルドのデメリット
染み込んだオイルによる「ベトつき」と酸化することによる「におい」
購入を悩ませたのはこの2点である。
ジャケットの内側に付けられたケアについてのタグ。洗うことが難しかったり他のものにオイルが移ったりと取り扱いには注意が必要である。
ベトつき
それでもベトつきに関してはいたしかたないと考えていた。オイルが含まれているからこそ防水、防風、耐久性があるのだから。
それに伴い直接他のものにつく可能性がある為公共機関や人ごみに入る際など他のものに触れてしまう場合の配慮が必要。
そして実際手にしてみて感じたのは「表面が少しペタペタする」この程度であった。
どちらかというとこの感触が気になるというよりはオイルドのおかげで外気温が低い時には表面が冷たく感じる事。そしてほこりがつきやすい所の方が気になった。
ほこりに関しては着用後のブラッシングで対応していく事になるだろう。
まあ多少の手がかかるのも愉しいものだ。
におい
一方のにおいについて。
オイルドクロスで真っ先に思いつくのがにおいの問題。
特に年代物の古着のビデイルなどはじっくりと着込まれた事による経年変化と同時にオイル臭がキツく扱いに非常に困るという事がある。
このにおいに対しての抵抗もあり購入に踏み切るかどうか最後まで悩んでいた。
しかし実際にビデイルを愛用している方からもお話しをいただき、現物を確認していくにつれてわかってきた事がひとつ。
それは「現行のバブアーはほとんどにおわない」という事。
実際手にしてからも感じているのだが確かににおわない。
よくよく鼻を近づけ嗅いでみるとわずかに油特有のにおいを感じ取ることができるが気にしてみない限りはわからない程度。
※もちろん個人の感想であり人によっては十分におうという事も考えられる為現物確認をオススメする
という事でにおいに関してはかなり覚悟して手に入れた為良い意味で拍子抜けしてしまった。
新品時はこのような状態。
しかし、着込んでいく事によってオイルが酸化し臭くなっていくのかもしれない。
そのあたりのにおいの変化も含め、今後じっくり付き合いレポートしていきたい。
ビデイルSLのデザイン
ラグランスリーブ
元が乗馬ジャケットのビデイル。
肩部の可動をスムーズにするためラグランスリーブが採用されている。かっちりしたシルエットながら適度にラフな雰囲気も保たれている。
袖リブ
一見スタンダードな袖口の仕様。
しかし実はリブが隠されており冷たい風の侵入を防いでくれる。
ベンチレーション
脇部にあるベンチレーション。通気性を補助し快適さを加えるディテール。
ポケット
マチありの大きめなフラップポケット。
多少物をいれてもしっかりと収めてくれる。
裏地のチェックが効いている。シンプルも良いがここまで真っ黒では味気なかっただろう。
上部にはハンドウォーマー。馬上でもサッと手をいれ温める事ができる様斜めに配されている。
サイドベンツ
裾は乗馬用らしく座っていても動きやすいサイドベンツ仕様。
裾脇の切り込みはスナップによる開閉も可能。
すっきりと使う場合は閉め、ゆったりと使いたい場合は開けてカジュアルに使うのも良い。
ジッパー
存在感のあるジッパー。
セージやネイビーのカラーを選んだ場合は華やかなゴールドの仕様になるがブラックを選んだ場合はミニマルなシルバージップとなる。小物の金具部は細かい箇所ではあるが何気に印象を左右する。
ボタン
シックなスナップボタン。バブアーの刻印がさりげない。
ボディと同色で控えめな主張。
裏地
タータンチェック。英国を象徴するディテールで前を開けて羽織った際に自然にチラ見えするのも粋である。
ジッパーにより別売りのライナーの装着も可能。
ビデイルSLのファーライナーについて
サイズ感とシルエット
前述したとおりビデイルSLはクラシックビデイルに比べタイトなシルエットとなっている。
クラシックビデイルとビデイルSLの比較
特に身幅。脇下が絞られすっきりとしたラインが見て取れる。
スリムな長方形のライン。
サイズ感
自分の場合身長169で体型は華奢。普段UNIQLO、ヘインズのTシャツはMサイズ。スウェットやニットもMサイズを着用。アルファのMA-1や一般的なアウターはSサイズをジャストで着用している。
最初は36で適正かと考えていたが思いの外身幅が余る。
袖丈も34で手首までしっかり隠れる適正で36だとわずかに長めに感じた。2.5センチの違いも何気に大きい。
サイズ感としてはもともとスッキリしたシルエットである為、あくまでジャストサイズで着こなしたかった。ジャストサイジングでもラグランスリーブやサイドベンツなど可動しやすいつくりなので動きづらいという事はない。
以上より自身のビデイルSLは34で確定。
現状厚手のニットをインナーにしても適正に着られるがライナーも想定した場合は1サイズあげても良いだろう。
削ぎ落とす事で見えてくる機能的かつスタイリッシュなシルエットと伝統が醸し出す雰囲気。バブアーのビデイルSLはその両方を兼ね備えている。
特有の経年変化にも期待。オイルドジャケットの定番を着よう。